西暦編
第六話 タイム・リミットA
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成されるだろう。
「――――投影、開始。体は、剣で出来ている……!」
だが、それを許す士郎ではない。
投影されるのは、赤原猟犬。
北欧の英雄が振るったとされる、伝説の魔剣である。その剣を矢と変え、番えて狙うは前衛の中央――――板状組織の中心点。
矢に魔力を注ぐ。ただの射撃では、それに対抗する為に生み出されたあの壁は打ち破れないのだろう。故に、確実に撃ち抜くため、乱暴に十分以上の魔力を叩き込む。
五秒、限界まで引き絞った弦が、ぎちりと軋む。
十秒、敵の身体が一層収縮し、力を溜め込んでいく。
十五秒、冷却された意識が、一瞬の変化を読み取った。
矢を放つ寸前、大気を割って後衛の一体が士郎へ向かい、襲い来る。
指は、既に矢から離れつつあった。
もはや標的は変えられない。弦から放たれた緋い魔弾は、
「赤原を往け、緋の猟犬……ッ!」
軌道が変わる。
違う、初めから狙っていた標的は二つだっただけのこと。
法則はねじ切られ、魔弾は正面から白い巨体を粉砕する。そのまま、駆け落ちる流星は第二の目標へと迫り。
轟音が響き、板状組織に無数の亀裂が走った。
射撃に対する最適解として創り出された防壁は、多少なり威力を削がれていた魔弾を相手に、辛くもその役を果たしきった。
衝突した矢は反転し、射手の下へと還っていく。迎撃も間に合わない、音速を超える速度が放った射手自らに牙を剥く。
手はない。今から投影したところで、着弾が先を行くだろう。
そもそも、士郎は防ぐ手立てなど考えていない。
「――――投影、終了。我が骨子は、捻じれ狂う……」
次弾を装填。弓を構える弓兵の眼に、目前に迫る魔弾など映ってもいない。
先の魔弾は、赤原猟犬。
射手が健在である限り、狙う意志が消えぬ限り、幾度防がれようと標的を狙い続ける。
故に、反射されたところで問題などない。
「偽・螺旋剣……ッ!!」
翻る緋き魔弾は、今度こそ標的の盾を打ち砕き、その持ち手を粉砕する。
そして、新たな標的の無防備な側面に喰らいつく前に、次なる一撃が放たれた。
新たな魔弾は大気を捻じ切り、先の一撃を反射させた防壁すら歯牙に掛けず、
二体の化け物を、紙でも貫くように穿ち抜いた。
殲滅を終え、士郎は投影した宝具を消滅させる。
怪我はなく、魔力の消耗も問題ない。
とはいえ、今の士郎は大聖杯とのパスから、膨大な魔力が得ることができる。彼が抱えていた魔力の問題は、ほとんど解消されていた。
「先週に比べて、小型も進化型も、かなり数が増えてきたな……」
その変化が何を意味するのか、士郎はもう答えを知ってい
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