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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
第五次イゼルローン要塞攻防戦6
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索敵士官の声に、もはや計器だけではなく、視界が理解させる。

 イゼルローン要塞――その前方に高出力のエネルギーが集約して、まるで太陽を思わせる光の渦が存在する。その射線の先に狙うは、敵の最前線があり――そして、味方の最前線でもあった。
 まだ撤退は完了していない。
 いや、わずかな後退すらできていない。
 数千隻にもある駐留艦隊の最前線の部隊だ。
「下がれ。前線から下がらせろ!」

 もはやこの期に及んで、脅しだと希望を膨らませて発言することはできない。
 先ほどの威厳すらかなぐり捨てて、ヴァルテンベルクは叫ぶように命令を下した。
 それは命令ですらない悲鳴に近い声であったが、兵士たちにとっては同意見であったのだろう。光の渦が巨大になるにつれて、一刻も早く逃げるよう命令が下され、前線の艦隊は全力で後退を始めた。
 そこに統制というものは存在せず、ある駆逐艦は戦艦の逆噴射に巻き込まれて炎をあげ、ある艦は自ら敵を攻撃中の主砲の斜線に入って、はじけ飛んだ。

 混乱の極みの中で、イゼルローン要塞から視線を外した索敵士官の一人が声をあげた。
「閣下。敵艦隊――敵の最前線の一部の艦隊が……前進しています!」
「何を馬鹿な」
 ヴァルテンベルクが顔をしかめ――視界に入ったのは同盟軍の艦隊が押し寄せている姿だった。
「ぶつかる気か」

 それは驚くべき加速であった。
 動力機関にある程度エネルギーを使っていなければ、戦闘中には不可能な高加速。
 その速度に前線はおいていかれ、駐留艦隊総旗艦であるヴァルテンベルクの脇を駆け抜ける。
「艦隊――前面に主砲を斉射せよ」
 雨の様に駐留艦隊からレーザーが降り注ぐ。

 選んだのが捨て身の特効だとしても、加速状態で正面から撃たれれば、こちらにたどり着く前に壊滅できる。
 降り注ぐ主砲の嵐が、敵艦隊を大きく削っていく。
 だが、それにしては敵からは一切の攻撃がなかった。
 いや、防御すらも最小限度にして、速度のみを優先しているようだ。

 ある艦は駐留艦隊の攻撃によって沈没し、ある艦は帝国軍の艦隊に正面からぶつかってともに破壊された。
 無謀ともいえる疾走に、だが、同盟軍の艦隊は止まることはない。
 疾走。
走り出す艦隊が目指すのは駐留艦隊ではなく――イゼルローン要塞だ。
「敵――こちらに向かってきません。閣下!」

 問われた声に、迎撃命令を出そうと考えたが、既に遅い。
 敵最前線は駐留艦隊の脇を縫うようにして、イゼルローン要塞に向けて走りだしている。
 主砲で迎撃するためには、艦隊の方向を変えねばならず、間に合わない。

 艦隊が反転したころには、すでに背後に回り込まれているだろう。
 もし、気づくのが早ければもっと対処もできた。
 だが、その時
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