三十二日目
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「水着持ったか?」
「勿論」
「弁当は?」
「入れたって。ったくお前は心配性だなぁ」
サイドカーに乗った葵が抗議する。
「じゃぁ、氷見家で林檎と蜜柑と慧奈拾っていくからな」
「あいよ」
エンジンをふかすとブルン!と爆音が響いた。
そのままアクセル。
「くっそ…やっぱサイドカー『二つ』はきついぜ」
このバイクは親父が十年ほど前に買った物で、公道走行可能としては当時最強の馬力を持っていたらしい。
だが、やはりサイドカー2つをくっつけると重い。
「灯俊ー。事故るなよ?」
「事故らねぇよ」
走っていると、やはりサイドカー2つは目立つのかすれ違うドライバーがこちらを見る。
十分ほど走らせると、氷見家についた。
一家が暮らすには十分な一軒家だ。
ラインで慧奈に知らせると、直ぐに玄関が開き、林檎と蜜柑が出てきた。
それに遅れて慧奈も出てくる。
「隊長!プールなの!」
「楽しみなの!」
「おう。そうだな」
「兄様も一緒に泳ぐの?」
「時間次第だな。何時終わるかわかんねぇんだよ」
俺が二人と話している間に、慧奈が葵とは反対側のサイドカーに乗った。
ベクトルの釣り合いの関係で、こうしなければバイクの制御ができないのだ。
「林檎、蜜柑。二人の膝に乗ってくれ」
「「わかったの!」」
SAO被害者学校に着くと、まだキリト達は居なかった。
「悪いけどアイツら来るまでここで待ってて。
俺はカウンセラー室行くから」
そう言い残し、貰った地図を元にカウンセラー室へ。
案の定菊岡がいた。
で、何故かその隣には本職のカウンセラーとおぼしき美女。
「なにしてんの?」
「いやぁ、ドッキリ仕掛ける予定だったんだけど、君が以外と早く来てね」
「ふーん。あっそ。で、俺はどこで何してればいいんだ?」
「んー…取り敢えず隠れてて」
「めんどくさ…」
取り敢えず掃除用具入れの中に入る。
イヤホンをセットして、最近お気に入りの曲を流す。
神崎エルザ。最近デビューした歌手であり、ちょっとした知り合いだ。
用具入れの中から外を覗くと、菊岡とカウンセラーがニヤニヤしながら企みを話していた。
面白そうなので俺は俺で乗る事にした。
ポケットティッシュを束のまま折り曲げ、口にくわえる。
イヤホンは…あとでいいか。
五分ほどして、キリトが来たようだ。
ズボンのポケットに入れていたスマホからジャックを抜き、引っ張って耳からも外す。
それを手に巻き付けて…
どんどん! と用具入れを蹴る。
直ぐにキリトが開
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