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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
第二章 神徒駆逐
第三十五話 皇帝葬送
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◇◇
パルス陣営の本陣に引き据えられたギスカールはそこではもはや縛られることはなかった。もちろん武器は全て取り上げられているし、周りは錚々たる武将たちに取り囲まれている訳だし、逃げることも誰かに襲いかかることも出来ようはずはないからな。
その傍らから進み出て、ギスカールに水の入った杯を差し出した者があった。憔悴していたギスカールは思わず飲み干し、杯を返して眼の前の人物を不審げにしばし見つめ、やがてその正体に気付いたようだった。
「お主は戦の前に姿を見せた神の代弁者!何故ここにいるのだ!」
「…あの時も言ったであろう。私はパルスの王太子の嫁になったのだ」
「馬鹿な!お主はルシタニア人であろう!祖国を裏切ったのか!」
「私が裏切ったのではない!お主ら為政者が神を、民を裏切ったのだ!私は人は神の前ではすべて平等だと教わった。なのにお主らは何をした。何をさせた。同じ神を信じるマルヤムを、ただ信じ方が異なるということだけで虐げた。また、エクバターナを攻略する際、奴隷たちを解放すると約束しておいて裏切った。そうするよう民にも命じた。それが神を奉じるものの所業か!私はパルスやシンドゥラやマルヤムの者たちといささか縁が出来てしまった。もはや彼らと袂を分かつことは考えられぬ。お主らルシタニアの為政者が他国の者を虐げることしかしないなら、私はもうそれには付き合いきれぬ故、祖国を捨てるしかない。残念だがもはや住む世界が違ってしまったのだ!」
「何だと…」
エステルの言葉に絶句するギスカールの前に今度は俺が進み出た。これ以上弟の嫁を矢面に立たせるのも悪いからな。
「ギスカール殿、これまでのパルスは奴隷制を認め、汚職の横行する不正義な国家だった。ルシタニアがそれを是正するためにパルスの王族を担ぎ上げたんだったら別にそれで構わなかっただろうさ。だが、お主らは不正義に不正義で返した。ただパルスを蹂躙し、欲望のままに貪っただけだった。そしてお主らはそれを神の名のもとに正当化した。だがな、そんなものまともな神経をしてたら付き合える訳がなかろう。不正義を働きたいなら一人でやれ。他人まで巻き込むな。あまつさえ、それで裁かれることになったら今度は裏切ったなだって?どの口がそれを言えるってんだよ!」
「まあ、元々他者を羨ましがって、それを大義名分を掲げて奪うことしか考えぬ御仁だからな。ラジェンドラ殿、お主がギスカール殿の立場だったらどうした?惰弱な兄を支え続けたか?」
「俺がそんなに殊勝な心がけの持ち主だと思うのか、ミリッツァ殿?俺なら国のためにならんのなら即座に退位して頂くことにしただろうさ。例え自分が主君殺し、兄殺しの汚名を背負うことになってもな。まともな政がなされることの方が国民にとっては余程幸福なことだろうからな」
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