第三章
[8]前話
「お陰で、けれど」
「お礼はよね」
「いいって言われたわ」
母にこのことも話した。
「それはってね」
「そうした子なのよ、お礼を言われてもね」
「それはなの」
「いいっていうのよ」
こう娘に話した。
「これがね」
「それはなのね」
「いいって言って」
そしてというのだ。
「見返りとかは求めないの」
「変なの」
妹は母の言葉に思わず呟く様に言った。
「普段は茶化してお礼を言ったらそうって」
「あれで繊細な子だから」
「それでなの」
「そうなのよ」
「本当に危ない時は助けてくれ」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「お礼はいいのよ」
「ううん、本当に有り難いからお礼を言ってるのに」
「それでもよ。だからあんたは心の中で感謝してね」
そうしてというのだ。
「お兄ちゃんと兄妹でいるのよ」
「これからも」
「ええ、じゃあもうすぐ朝御飯だから」
母は娘にあらためて日常の話をした。
「これから御飯出してお父さんとそのお兄ちゃん起こしてくるわね」
「わかったわ、それじゃあ手伝うわね」
「そうしてね」
「オデニマカセロパンツハワタサン」
「オデニマカセロパンツハワタサン」
ここでそのつつじとオウムの声が聞こえてきた。
「オデニマカセロパンツハワタサン」
「よし、また一つ覚えたな」
「あっ、また変な言葉教えてる」
妹は兄の仕業に目を顰めさせて述べた。
「止めてって言ってるのに」
「あれもまたお兄ちゃんなのよ、あんたのね」
母は怒る娘に笑顔で話した、全てをわかって受け入れている母の笑顔はそうしたものだった。しかし。
妹はそれでもだ、頬を膨らませて言うのだった。
「けれどああしたところはね」
「嫌なのね」
「変な言葉ばかり教えるのは」
オウムにというのだ。
「本当にね」
「困るのね」
「いざって時は感謝するけれど」
本気で助けてくれる彼にはだ。
「けれどね」
「それでもよね」
「ああした時は困るから」
「けれどそれもお兄ちゃんってことで」
「そういう人ってことで」
「わかっていてね」
「そうなる様に努力するわ」
これが妹の返事だった、だがすぐ兄のところに行って注意した。
「止めろって言ってるでしょ」
「あっ、元気になったな」
「なったけれど止めてね」
あくまでというのだ。
そうして兄を朝食の場に連れて行った、父の方は母が起こした。妹はオウムのことで怒りながらも看病をしてくれた兄には心の中で感謝をした。そうして朝食を食べて学校に行くのだった。
マジピンチな時には 完
2018・8・23
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