第二章
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「悪かったらな」
「病院もか」
「行け」
こう言ってだ、そしてだった。
つつじは自分が肩を貸して担ぐ形になって友人を保健室まで連れて行った、その後で友人に礼を言われたが笑顔でこう返すだけだった。
「いいさ、お互い様さ」
「いいのかよ」
「お礼言われる様なことはしていないさ」
こう言うだけだった、そうして何もなかったかの様に授業に戻った。
妹が風邪をひいた時は学校から帰ってすぐに看病した、自分で鶏肉や野菜が沢山入ってよく似込まれた雑炊を作って差し出した。
「じっくり煮込んで消化にもいいしな」
「だからなの」
「薬も買って来たからな」
風邪薬、それをというのだ。
「食った後は飲んでな」
「そうしてなの」
「ああ、よく寝ろ」
ベッドの中に寝ている妹に言った。
「そうしたら治るからな」
「有り難う」
妹は兄に言った。
「本当に」
「お礼はいいさ」
妹にもだ、つつじは笑って話した。
「こうした時はお互い様だろ」
「だからなの」
「ああ、雑炊食えるだけ食ってな」
「お薬も飲んで」
「お風呂入られるか?」
「風邪にお風呂いいの」
「じっくりあったまるならな」
それならというのだ。
「いいからな」
「だからなのね」
「ああ、お風呂連れて行こうか」
「立って歩くこと位出来るから」
そこまでの体力はあるとだ、妹は兄に答えた。
「安心して」
「だといいけれどな、お風呂入ったらちゃんと身体を拭いてな」
「着替えもしてよね」
「よく寝ろよ」
「ええ。そうするわね」
妹は兄にベッドの中から応えた、そうして二日後風邪が治ってから母に対してこんなことを言った。
「あの、お兄ちゃんだけれど」
「風邪の時はね」
「私が前に風邪ひいた時もだったけれど」
「そうよ、あの子は普段ふざけていても」
母として自分の子供はよく知っていてだ、そのうえで言うのだった。
「誰かが本当に困っている時はね」
「ああしてなの」
「真剣にね」
「助けてくれるのね」
「そうよ、ちょっと困っている時は茶化すけれど」
それでもというのだ。
「本当に困っている時は」
「助けてくれるのね」
「ああして真剣にね」
「そうなのね。普段はね」
妹は普段の兄のことを思ってこうも言った。
「いい加減でふざけてるのに」
「そうした子なのよ。それで風邪どう?」
「すっかりよくなったわ」
笑顔でだ、妹は母に答えた。
「熱は下がったし身体の調子もいいし」
「気分もいいわね」
「本当にね」
すっきりとした笑顔で言うのだった。
「よくなったわ、お兄ちゃんがずっと雑炊作って食べさせてくれてお薬飲ませてくれて」
「お風呂入れとか色々アドバイスしてくれて」
「かなり酷い風邪だったけれど」
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