第一章
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マジピンチな時には
今井つつじは皆からいつも人が困っていると冗談で茶化すと思われている、それはこの時もだった。
あるクラスメイトであり友人でもある男が宿題を忘れた時つつじは彼に笑ってこう言った。
「立たされるな」
「おい、そこでそう言うのかよ」
「駄目か?」
「俺今ピンチなんだけれどな」
言いながら今更ながら宿題をやっている。
「それでもかよ」
「間に合わなかったからアウトだな」
「その時は覚えてろよ」
「ははは、立たされてからの話だな」
こう言うつつじだった、しかしだった。
その友人は宿題を終えてことなきを得た、その時つつじは何も言わなかった。
そして家でだ、妹が飼っているオウムにこんなことを言っていた。
「オンドゥルウラギッタンディスカー」
「オンドゥルウラギイタンディスカー」
オウムは彼の言葉をそのまま言っていた。
「オンドゥルウラギッタンディスカー」
「よし、次はオデノカラダハボドボドダ」
「オデノカラダはボドボドダ」
「ウゾダドンドコドーン」
「ウゾダドンドコドーン」
「オレハクサムヲムッコロス」
「オレハクサムヲムッコロス」
「今度は何教えてるのよ」
その妹が彼に言ってきた。
「黙って見てたら」
「ああ、ちょっとオンドゥル語をな」
「何それ」
「面白いだろ」
「全然面白くないわよ」
妹は兄にこう返した。
「全然ね」
「昔ネットで流行って今も使われてるぜ」
「そんな言葉あったの」
「昔の特撮番組であってな」
「それでこの子に教えてるの」
「ああ、面白いからな」
「あまり変な言葉教えないで」
飼い主としてだ、妹は兄に注意した。
「全く、変な言葉ばかり教えて」
「じゃあオンドゥル語教えたら駄目か」
「止めてね」
実にはっきりした返事だった。
「もう二度とね」
「やれやれだな。それじゃあな」
「そうよ、オンドゥルかオンドルか知らないけれど」
妹にとってはそうした言葉はどうでもいいことなのでこう返した。
「二度とね」
「この子に教えたら駄目か」
「今度教えたら怒るわよ」
「折角他にも教えようと思ったのにな」
「オンドゥルウラギッタンディスカー」
まだ言うオウムだった、つつじはこうした時もふざけていて家でも妹を中心にいつも冗談ばかりと思われていた。
だがある日のことだ、学校の体育の授業でだ。
クラスメイトが足を挫いた、するとすぐにだった。
つつじは彼に肩を貸してだ、真剣な顔で言った。
「保健室行こうな」
「自分でも歩けるよ」
「いや、無理するな」
いつもとは違う真剣な顔で言うのだった。
「結構痛そうだからな」
「それでか」
「ああ、肩貸すからな」
それでというのだ。
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