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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話
第百二十九話
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べきだ」
「お前以上にいい男を私は知らん」
「そう。なら、俺の全てを見せて姉さんを絶望させてあげる。
汚い俺の全てを。織斑一夏じゃない俺を」
一夏が抱擁から抜け出して体を起こす。
それを追って千冬も体を起こした。
「カンヘル」
一夏の腰と胸部、背部に物々しい角ばった装甲とバインダーが現れる。
「トランザムバースト」
背中から伸びたアームで支えられたバインダー内の筒、背中と腰の円錐。
それらが甲高い駆動音を奏で、光を撒き散らす。
『ますたー。千冬に見せるの?』
『うん。そうすれば姉さんも俺を嫌ってくれるから』
一夏の手にフォールドリングが顕れる。
一夏が千冬の手を取る。
「さ、姉さん。俺を嫌ってくれ」
触れられた瞬間、千冬の中に記憶が流れ込む。
織斑一夏の生きた記憶と、その前世の記憶が。
前世の『彼』の好きだった食べ物、嫌いだった食べ物、お気に入りの曲、初恋の人、学校生活の不満、友人との思い出、趣味、特技。
そして、一番お気に入りの小説。
「ね? 俺はズルい人間なんだ。全部答えを知ってるんだ。
織斑一夏が高校生になって、理不尽とか恋とかに悩まされて。
そんな世界に憧れて、そんな世界に来て。
自分を偽って、自分を演じて」
千冬が目を開けた。
「なぁ、一夏」
「なに?姉さん?」
「お前は私を『姉』と呼んでいる。
それが答えではダメなのか?」
「…………………」
単純明快な答えを千冬が提示する。
お前が姉と呼ぶから私は姉なのだと。
「知った。全てを知った。私という存在を、束という存在を。
その『あり得たかもしれない』世界の事を」
「だがこの世界はこの世界だ。
もうお前の知る世界じゃない」
「例えこの世界が神によって創られたか、誰かが書いている小説だとしても、私達は生きている。それでいいじゃないか。
お前はいったい何を悩んでいる?」
「だって、俺は…卑怯だ」
「何がだ?束を惚れさせてしまった事がか?箒と付き合っている事がか?」
「全てを知って動いているから…」
一夏は歯切れの悪い返答しか返せない。
「お前は全てを知った上で、手を差しのべていたじゃないか。
全てを放って生きたって、お前に損は無いと言うのに」
「だって…! だって見てられないじゃん!」
一夏が千冬の襟首を掴む。
「俺は…! 俺は姉さんが悲しんでる顔を知ってるんだ!
家族と離ればなれになる人の泣き顔をさぁ!
だったら!そんな顔になりそうな人がいたら助けない訳にはいかないじゃないか!
ズルしたって! それですくえるなら…!」
一夏の目には涙が浮かび、語気も強い。
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