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艦隊これくしょん 災厄に魅入られし少女
第十四話 災厄の少女の采配
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にそうつぶやく。
その手に握られていたのは本来艦娘の艤装である『12cm単装砲』だった。ただ通常の12cm単装砲とは違い、銃身の根元部分にロングマガジンが差し込まれた片手用のサブマシンガンと化していた。
本来なら艦娘しか使用できないのだが、身体の半分が深海棲艦となっている凰香は艦娘の艤装を使用することができる。
しかしそのことを知らない大淀は目を見開いて驚愕している。そんな大淀を気にすることなく凰香はもう一つ仕込んでいた改造12cm単装砲を取り出しながら大淀に言った。

「大淀さん、鎮守府にいる艦娘……特に空母に応援要請を。空母の艦載機で敵艦載機を迎撃してください。それと何処かに敵空母が潜んでいるはずです。別働隊を組織して鎮守府近海付近を哨戒させてください」
「りょ、了解です!!提督も早く避難を!!」

大淀がそう言いながら凰香の腕を掴んでくる。
しかし凰香はすぐに大淀の腕を振り払い、視線だけを大淀に向けて言った。

「……『提督』である私には死んでほしいのではなかったのですか?」
「ッ!? そ、それは………」

凰香にそう言われた大淀はその先の言葉を出すことができない。何せここの艦娘は今までの提督を半殺しにして追い返しているのだ。そんなことをしてきた彼女達が今さら提督を守ろうとするなど滑稽きわまりない。
凰香は何も言えず表情を歪める大淀から視線をはずし、前方を見渡しながら言った。

「……ああ、安心してください。私は悪運だけは人一倍強いので、そう簡単に死ぬつもりはありません」
「…そういうわけでは………」
「時雨」

凰香は大淀の言葉を遮って時雨を呼ぶ。凰香に呼ばれた時雨はすでに自分の艤装を装備していた。
それを確認した凰香は時雨と大淀に言った。

「大淀さんは応援の指揮と避難する艦娘の誘導を。時雨は私と一緒に敵艦載機の迎撃を」
「……了解です」
「うん、わかったよ」

凰香の言葉に大淀は力無く、時雨はいつも通りに返事してくる。
それを聞いた凰香は自分の中に眠る防空棲姫の力を引き起こす。それにより黒かった凰香の瞳は血のように赤く染まった。

「……さて、悪い子にお灸を据えましょう」

凰香はそう言うと、時雨と共に大淀の制止の声を無視して見張り台を飛び出して演習場へと向かった。


………
……



見張り台を飛び出した凰香は一旦時雨と別れ、敵艦載機を撃ち落としながら演習場を走り抜ける。
その道中避難してくる艦娘達の一団と遭遇するが、声をかける間も無くすぐに走り去っていく。しかしすれ違う瞬間に確認したが、全員が全員何処かしらを負傷していた。それだけ演習場での戦闘が激しかったことが伺える。


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