純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 6
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
といった様子の精霊達が、横たわるアーさんを取り囲んで言葉を交わし合う。あまり大声で話さないでねって言われてるから、皆それなりに潜めてはいる。
ちなみに聖天女様は、教会を空にして万が一何か問題が起きたら困るからと、私とアーさんを置いて早々に引き返してしまった。
聖天女様が昨日仰っていた「ちょっとした恩返し」って、花園で一時間眠らせてあげる事だったのね。確かに、結界で意識を閉じ込めてしまえば妙に音を気にするアーさんでも落ち着いて眠れるかも知れない。器が音を拾っても、認識する思考が働かないから。
人間の世界には花の香りで緊張を解す医療が在るとかなんとか王都で聴いたし……アーさん本体を花園に連れて来たのも、身体に蓄積した疲労を少しでも和らげる為?
<i8183|32367>
「これが、リースリンデを人間の世界に引き留めてる人間なの?」
「何処にでも在りそうな器ね」
「リオ、リーフ」
アーさんの横顔をじっと見ていた私の隣に、リオルカーンとリーフエランが横並びで恐々と飛んで来た。やっぱり、ふたり共アーさんに好意的な姿勢は見せない。
当然だよね。アーさんは人間だもん。
精霊が人間なんかに好感を持てる筈……
「でも、似てる」
「え?」
アーさんの正面に回って顔を覗き込んだリーフが、数回瞬きをして首を傾げた。
「具体的に何処がどうとは言えないけど……クロスツェルに似てるよね? これ」
「………………そうね。言われてみたら、そうかも」
リーフに促されてアーさんの目元を覗き込んだリオも、少しの間を置いて浅く頷く。
「クロスに似てる? アーさんが?」
「「うん。似てる」」
ふたりの後を追って、アーさんを正面から覗いてみる。
アーさんは人間そのものだし、アリア様達に護られてるクロスとは全然違うと思うんだけど……
「……クロスに、似てる……?」
聖天女様が結界を解かない限り、決して開かない目蓋。
その奥に隠れた金色の虹彩を思い浮かべた途端、キラキラ光るクロスの瞳と面影が重なった。
優しく微笑む、星明かりみたいに綺麗な人。
「……そう……か。そうだったんだ。アーさんがクロスに似てたから、私は」
『リーフエランとリオルカーンが解決してくれるわ』
聖天女様が仰った通りだ。クロスを知ってるふたりが、私に教えてくれた。
「ふふっ! ありがとう、リオ! リーフ! 漸くすっきりしたわ!」
「え?」
「なにが?」
胸の痞えが下りた喜びで空高く舞い上がる私を、キョトンと見上げるふたり。
うん、いきなり何の話? って思うよね。
だけど私は、聖天女様とふたりのおかげで確信したわ。
「私はやっぱり、人間なんて大っ嫌い!」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ