461部分:第三十六話 思わぬ出会いその三
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第三十六話 思わぬ出会いその三
「宜しく御願いします」
「はい、お一人様消費税抜きで千円ですね」
「あっ、千円ですか」
「はい、消費税抜きで」
こう話すお店の人だった。見れば女子大生位の背の高いすらりとした美人だ。カチューシャから見える黒のロングヘアが眩しい。
「それだけです」
「わかりました」
「それと」
お店の人は津島にさらに言ってきた。
「プラス五百円で」
「五百円で?」
「フリードリンクになります」
そのサービスもつくというのである。
「どうされますか?」
「あんたはどうするの?」
津島はここではまず狭山の意見を問うた。
「それで」
「そうだな。ここはやっぱりな」
「フリードリンクもなのね」
「金はあるしな」
一番重要な問題はクリアーされた。まずは何につけてもこれだった。
「俺はいけるぜ」
「お金は私もあるわよ」
津島もだというのだった。
「そっちはね」
「じゃあいけるか」
「そうね。じゃあそっちも二人でね」
「ああ、決まりだな」
こうしてだった。二人は飲み放題も注文するのだった。そのうえでパスタを楽しむ。そしてパスタといえば一緒に飲むものはというとだ。
「ワインも美味しいわね」
「そうだろ?ここってドリンクもいいんだよ」
狭山はそのワインをグラスに入れながら飲んでいく。デキャンタに赤ワインが入っている。二人でそのデキャンタからそれぞれのグラスに注いでいるのだ。
そして狭山はペンネアラビアータを、津島はミートソースを食べている。まずはそれであった。
「ワインだってな」
「いいわね。食べるだけじゃなくね」
「飲める店でもあるんだよ」
「合格ね」
津島は満足した顔で言い切った。
「このお店は」
「合格か」
「そう、合格」
ここでワインをぐびぐびと飲む津島だった。そうして言うのだった。
「これって甲州ワインでしょ」
「ああ、そっちのワインなんだ」
「あんたそういうのはわからないの」
「俺どっちかっていうとビール派だからな」
狭山はそちらの方がだというのだ。
「ワインはな」
「わからないのね」
「そんな産地が何処かまではわからねえよ」
「じゃあ私がわかるってことは」
「御前その甲州ワイン随分飲んでるだろ」
「うちの家はワイン派なのよ」
ここで自分の家の事情を話す津島だった。
「お酒はそっちだから」
「それでか」
「そうよ。特に甲州ワインはよく飲むわね」
「成程な」
「これは甲州ワインね」
また言う津島だった。
「どんどん飲めるわ」
「じゃあもう一回持って来るか」
「そうしましょう。それとね」
「ああ、それと?」
「パスタもね」
見ればだ。二人共それまでパスタが入っていた皿を空にしてしまってい
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