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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv64 戦いの勝者
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れが奴等の結界術の基点なのだ。
「俺はこの部屋に入ってから、ずっと違和感があった。なぜ、この部屋に、こんな大層な椅子が置いてあるのだろうか……とね。その後も、お前の不自然な行動が、あまりにも目についた。戦いの最中、わざわざ玉座に腰掛けたり、自分の本体を召還したり、挙句の果てにマホカンタを使ったり、とね。でも、それらの行動は、玉座を守るための行動だったと考えると納得がいく。本来の姿になったのは、自分の持つ強大な魔力の波動で、玉座を中心とした魔力の流れを隠すためなんだろ? ついでに最大の防御にもなるしね」
 アシュレイアは額に皺をよせ、苦虫を噛み潰したような表情であった。
 どうやら、当たらずとも遠からずといったところだろう。
 俺は話を続ける。
「だが、決め手になったのはそれではない。俺を糸で絡めとる為に、お前が召還したサンドワーム……あれで、ようやく、謎が解けた。リュビストの結界が発動しているあの時点で、魔の世界と繋がっていられる箇所は、もう基点となる場所以外ありえないからな。だがまぁ……俺はその所為で、命を落としかける羽目になってしまったから、そこは反省だがね。さて……それはそうと、早く結界を発動させないと、リュビストの結界に負けてしまうよ。いいのかい?」
 俺が長々と話している間に、この空間内は清らかなる力で満たされ始めていた。
 これが意味するところは1つである。
 リュビストの結界が、奴等の結界術を押し続けているのだ。
【き、貴様ぁッ!】
 俺の言葉を聞き、アシュレイアは急いで玉座へと手を伸ばす。が、しかし……座ることは叶わなかった。
 なぜならば、マダンテによって無数の亀裂が走っていた玉座は、その触れた衝撃で無残にも砕けてしまったからである。
 基点を失った奴等の結界術は一気に崩壊し、均衡はリュビストの結界へと傾いていった。
 そして、この場は瞬く間に、リュビストの結界が支配する所となっていったのである。
 と、その直後、アシュレイアとレヴァンは、リュビストの結界の大きな渦によって、成す術無く飲み込まれていった。
 アシュレイアの断末魔にも似た絶叫が、この場に響き渡る。

【グアァァァァッ、わ、我等の悲願がァァァァッ! 許さんぞッ、コータロー! この屈辱は決して忘れんからなッ! 覚えておけッ!】 

 それから程なくして、奴等は完全に渦に飲み込まれ、魔の世界へと強制送還された。
 すると役目を終えたかのように、大きな渦も消えていったのである。
 暫しの静寂がこの場に訪れる。
 そして、俺はそれを見届けたところで、意識を手放したのであった。
(これで、終わりだ……あぁ、もう限界……)――
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