Lv64 戦いの勝者
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たレヴァンは、そこで、先端に紫色の水晶球が付いた黒い杖を取り出した。
レヴァンは杖を俺の背後に向け、奇妙な呪文を唱えた。
杖の先から紫色の光が一閃する。
(一体、何をするつもりだ。前もこれに似たような光景を見た気がするが……)
などと考えていた次の瞬間、右脇腹に鋭い痛みが走り抜けたのである。
「な、なんだッ一体……グアァッ」
俺は恐る恐る、そこに視線を向かわせた。
すると、そこにいたのはなんと、アルシェス王子だったのである。
「グッ……アルシェス王子……なぜ……ま、まさか……クッ」
「ア、アルシェス王子ッ!」
「なんでアルシェスが、コータローさんをッ!」
「お兄様! なんてことをッ」
アルシェス王子は目を赤く輝かせ、俺の右脇腹に鋭利な刃物を突き立てていた。
どうやら、回収した眼鏡は、俺の見立て違いだったようだ。
【クククッ、アルシェスよ! そのままコータローを殺してしまえッ!】
その言葉を号令に、アルシェス王子は物凄い力で更に刃を突きこんできた。
「グッ……」
(ま、不味いッ……なんて力だ。あと、もう少しなのに……ン?)
俺が苦悶の声を上げる中、眩い光がラーの鏡から放たれた。
すると、アルシェス王子は事切れたかのように床に横たわったのである。
ラーのオッサンが鏡の力を使って、操る魔力を断ち切ってくれたのだろう。
【何ィッ! なぜ倒れるッ。クッ……操れないッ! オノレェェッ!】
流石のレヴァンも焦りの表情を浮かべていた。
(サンキュー……ラーのオッサン。さて……あと少しだ。最後の発動式を描くとしよう……)
俺は怪我の治療を後回しにし、魔法陣の完成に力を注いだ。
出血の続く右脇腹を左手で押さえながら、俺は魔法陣を描き続ける。
それから程なくして魔法陣は完成した。が、脇腹の出血が予想以上に多く、俺は少し朦朧としていた。その為、俺はなんとか気力を振り絞って、最後の仕上げに取り掛かったのである。
意識が朦朧とする中、宙に描いた魔法陣に向かって、俺は呼吸を整えた後、掌を広げて両腕を真っすぐに伸ばした。
そして……魔法発動のキーコードとなる呪文を唱えたのである。
―― 【マダンテ】 ――
その刹那! 魔法陣が俺の全魔力を両掌から吸い上げていった。
魔法陣は閃光を放ち、眩く輝きながら、俺の全魔力を暴走させてゆく。
するとその直後、魔法陣は、魔力が荒ぶる光の球体へと変貌を遂げたのである。
それは肌で感じ取れるほど、荒々しく高ぶる魔力の球体であった。まるで沸騰をしている水の如く、光の球体は荒々しく揺れている。
大きさは直径1m程だが、その波動は凄まじく、球体の周りは暴風を巻き起こしていた。
床に無数に散らばる小石が、まるで無重力状態になったかのように宙に
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