Lv64 戦いの勝者
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「え? どういう意味ですか」と、アヴェル王子。
他の皆も首を傾げている。
「私は死の淵を彷徨ったことで、新たな力を手に入れる事ができました。それを使うつもりです」
「一体、何をするというのですか。言っては何ですが、レヴァンはともかく、アシュレイアは我々がどうこうできるような相手ではないですよ。それは先程、コータローさん自身が身をもって体験した筈です。我々はこのまま……死を待つだけしか出来ないんですよ」
「そうだぞ、コータロー……とてもではないが、もう我々ではどうすることもできない。奴等の勝ちだ……」
アヴェル王子とウォーレンさんは項垂れるように、そう言葉をこぼした。
それはもう絶望を感じさせる落胆の声色であった。
他の皆も言葉には出さないが、同じ意見なのか、表情は暗いままであった。
もう気持ちは諦めに入っているのだろう。が、俺は構わず、話を続けた。
「俺も皆と同じ意見ですよ。今の俺達の力量では、アシュレイアと戦って、この状況をどうにかするなんて事は無理だと思います」
「なら、一体何をするというのです。魔法も使えない上に、奴等に近づく事すらできないこの状況で、一体何が出来るというんですかッ」
「理由は1つです。この状況を打破できる力を手に入れたから、やるんですよ」
「ですが、貴方は今、アシュレイアと戦っても、状況は打破できないと仰ったじゃないですか。一体どういう……」
「我々は闘う相手……いや、戦うべきモノを見誤っていたんです」
「戦うべきモノを見誤っていた……それは一体……」
「説明は後でします。アヴェル王子、この場は私に任せてもらえませんか」
暫しの沈黙の後、アヴェル王子は頷いた。
「……わかりました。何をするのかわかりませんが、この場は貴方に任せましょう。で、我々は何をするといいですか?」
「皆は、ここで待機していてください。もしレヴァンが私の邪魔をしに来たら、それの対応をお願いします」
「待機ですね……わかりました。貴方の指示通りにしましょう」
「では、よろしくお願いします」――
俺は王子達の間を通り抜け、奴等の前で立ち止まった。
早速、レヴァンが悪態を吐いてくる。
【クククッ、お前のその姿……どうやら、大賢者の秘法も使えるようだな……だが、それが何だというのだ。魔法の使えぬ状況で、そんな秘法など全く役に立たぬわッ! なぜ貴様が生きているのか気になるところだが、そんな事は大した問題ではない。お前達はもうすぐ死ぬのだ! アシュレイア様には指一本触れさせぬッ! さっきみたいなマネはもうさせぬぞッ!】
そして、レヴァンは翼を更に強く仰いだのである。
俺は心を落ち着かせ、黒い存在から継承した力を発動させる準備を始めた。
その力は、死の淵で黒い存在から受け継いだ魔法であった。
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