第三章
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「おかしくない?」
「そうよね」
「ちょっとね」
「有り得ないわよね」
「いや、それでもよ」
陽菜子はいぶかしむ友人達にさらに話した。
「あの生きものいいって思ったの」
「その理屈がわからないわ」
「確かに変な生きものだけれど」
如何にも陽菜子が好きそうなだ、友人達もこうは思った。
だがそれでもだ、虫なのでだ。
「虫は虫でしょ」
「実際グソクムシっていうし」
「それでいいっていうのは」
「矛盾しない?」
「けれど深海にいて私達と会わないし」
それがないというのだ。
「ゴキブリやムカデと違って」
「まあそれはね」
「絶対にないわね」
「そんな深い海人間が普通には行けないし」
「あの生きもの自体まだよくわかっていないらしいし」
「水族館にいても何年も食べないとかね」
「そんな凄い話もあるし」
死んだ時調べると死因は餓死ではなかった、餌をやっても足でどけるまでで食事を何年も摂らずにそれだったのだ。
「色々不思議な生きものよね」
「実際に」
「深海って変な生きもの多いけれど」
「あの生きものは特によね」
「凄く変よね」
「興味を持たずにいられないわ」
本当にというのだ。
「これは」
「だからなの」
「好きになったの」
「そうなのね」
「ぬいぐるみとか売ってるらしいから」
それでというのだ。
「今度通販で買うわ」
「そうするの」
「虫大嫌いでも」
「あの虫についてはなの」
「いいのね」
「それでなの」
「ええ、絶対によ。今日家に帰ったら」
そうしたらというのだ。
「ネットで注文して」
「そうしてなの」
「そのぬいぐるみ買うの」
「ダイオウグソクムシのを」
「そうするわ」
こう言って実際にだった、陽菜子はダイオウグソクムシのぬいぐるみをネットで注文して買った。その数日後だった。
陽菜子は友人達に満面の笑顔で話した。
「ダイオウグソクムシのぬいぐるみ凄くいいわ」
「本当に買ったのね」
「あれも虫だと思うけれど」
「それはいいのね」
「ダイオウグソクムシの方は」
友人達はにこにことして言う陽菜子に応えた、彼女の好き嫌いや苦手がどうもわからなくなってだ。だが陽菜子は上機嫌だった。ダイオウグソクムシのぬいぐるみを手に入れることが出来て。
虫でも好き 完
2018・8・22
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