第一章
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虫でも好き
倉田陽菜子は変なものを集めることが好きで趣味にもしている、だがそんな彼女の嫌いなものは皆によく知られていた。
「あんた虫嫌いよね」
「どんな虫でも嫌いよね」
「蜘蛛とかダンゴムシもね」
「ええ、蜘蛛やダンゴムシは虫じゃないけれど」
陽菜子自身もこう答えた。
「虫みたいなものよね」
「はっきり言えばそうなのよね」
「蜘蛛やダンゴムシって生きものの分類で言うと虫じゃないけれど」
「正直言って虫よね」
「虫と一緒よね」
「あとゲジゲジとかムカデとかミミズも駄目なの」
そうした生きものもというのだ。
「どれも見ているだけで嫌になるわ、特にね」
「ああ、ゴキブリね」
「ゴキブリ嫌いね」
「そうよね」
「うち洋菓子屋さんでしょ」
陽菜子は自分の家のことも話した。
「だからあの虫はね」
「お店に出たらアウトだしね」
「もうその時点で」
「だからいつも退治してるのね」
「もう最初から出ない様に徹底して」
「そうしているわ、ゴキブリホイホイも退治する餌も用意しているしお店の中はいつも奇麗にしているから」
とかくゴキブリのことは徹底しているというのだ。
「蠅とか蟻もね」
「何かと大変ね、食べものやってるお店も」
「虫には要注意なのね」
「そうよ、もう虫は駄目」
それに近い生きものもというのだ。
「見たくもないわ」
「カエルとか蛇は平気でも」
「そういうのは駄目なのね」
「どうしても」
「カエルは虫食べてくれるじゃない」
この生きものについてはこう言うのだった。
「だからね」
「いいのね」
「カエルについては」
「そうなの」
「ええ、それに可愛いでしょ」
カエルについてはだ、陽菜子はあくまで好意的だった。
「私カエルのグッズも持ってるし」
「それで余計になの」
「カエルは好きなの」
「大丈夫なの」
「ええ、それで蛇はね」
陽菜子はこの生きものについては自分から話した。
「鼠食べてくれるじゃない」
「ああ、鼠も食べもののお店には困るわね」
「ゴキブリと同じで出たらアウトだから」
「その鼠を食べてくれるから」
「蛇もいいのね」
「それに皮を持ってたら」
蛇が脱皮する時のそれだ。
「金運アップするし私も持ってるわよ」
「実際に持ってるの」
「蛇って確かに商売繁盛のご利益があるっていうけれど」
「蛇の皮も持ってるの」
「ああしたものも好きだから」
変なものを集めることが好きというその趣味も見せるのだった。
「だから蛇はいいのよ」
「成程ね」
「だからカエルや蛇はいいのね」
「そっちの方は」
「そうよ。あと最近トッケイのぬいぐるみ買ったわ」
虫から離れてだ、陽菜子はこちらもだと話した。
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