第二章
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「欲しいのよ。もうこうなったら」
「こうなったら?」
「どうだっていうの?」
「ええ、神様にお願いして仏様にも」
そうしてというのだ。
「キリスト教の教会にも天理教の教会にも」
「神様にも仏様にもなの」
「困った時のって感じで」
「そうするの」
「そうよ、色々な神様や仏様にお願いしたら」
それでというのだ。
「ひょっとしたらね」
「何処の神様か仏様がお願い聞いてくれて」
「それでなの」
「背を伸ばしてくれる」
「そうしてくれるっていうの」
「そうしてくれるかも知れないから」
マサミは友人達に話した。
「お願いするわ」
「それで大きくなればいいわね」
「どんどん必死になってきているけれど」
「その願いが適えばいいわね」
「努力もね」
マサミのそれがとだ、友人は言った。そしてだった。
積極的ではないがマサミの背が伸びる為の努力やお願いを応援することにした、それでマサミは余計に励んだが。
ある日だ、マサミは家で姉にこう言われた。
「あんた一五〇しかないっていつも言ってるけれど」
「実際に小さいでしょ」
「今はね」
「今は?」
「そう、今はよ」
マサミの姉は妹にクールな目で言うのだった。
「一五〇で小さいけれど」
「何かあるの?」
「昔の人はもっと小さかったのよ」
妹に言うのはこのことだった。
「江戸時代の人とかね」
「そうなの?」
「男の人で一五四センチとかだったから」
「えっ、男の人でなの」
マサミは大人びていてクールだと言われている顔を驚かせて姉に問い返した。
「一五四なの」
「そうだったのよ」
「それで平均だったら」
「男の人で一五〇ない人とかもね」
「多かったの」
「普通だったでしょうね」
妹に平然とした口調で話した。
「そうした人も」
「男の人で一五〇ないって」
「女の人はもっとでしょ」
人間はおおむね女性の方が小柄だ、それでマサミも女の子にしてはともいつも思っているのだ。中学三年にしてはと思いながらも。
「小さいでしょ」
「どれ位だったのかしら」
「あんたが江戸時代の日本に行ったらよ」
そうすればというのだ。
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