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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
第二章 神徒駆逐
第三十四話 断罪聖女
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るが、それを物ともせずにエステルの声が響き渡る。

「汝らが許されることを望むのならば、即刻この地より立ち去れ。ここは汝らの約束の地に非ず。汝らの約束の地は汝らの祖国だ。そこを汝ら自身のたゆまぬ努力により世界で最も美しく豊かな土地とすること。それこそが私の意思に適うものと知れ!」

腰を浮かしかけた者を押し止めるかのように更にエステルの言葉が続く。

「まだ私の言葉は終わりではない。最後まで聞くが良い。汝らは私を唯一絶対の神と考えたようだが、それは正しくはない。私はこの世界に最後に生まれ、残った神だと言うだけのことだ。先に生まれた神々は私より先に一つ上の世界に旅立たれた。私はその後を任された神であるに過ぎない。故に、他の神々を否定し、それらを信じる者たちを虐げることは私の意思に適わぬ誤った行いだと知れ。私の望みは全ての神の存在を受け入れ、それらを信じるものを排撃するのではなく、相手を尊重し、手を取り合うことである」

「騙されるな!こんなものは偽りだ!あの女は嘘を言っている!グッ…」

「そうだ!我々は忠実なる神々の使徒だ!神の栄光の為に祖国を離れ、万里の道を遠征してきたのだ。我々は神の前に恥じることなど一切ない!ガフッ…」

口々にエステルの言葉を否定した者たちが即座に何処からともなく飛来した矢によって永遠に黙らされた。いや、本当は魔道で姿を隠したラクシュが撃ってるだけなんだがな。

「何、これは弓の悪魔!?」

「何故、弓の悪魔がここに?」

弓の悪魔は異教徒の味方のはず。そんな思いをエステルの言葉が打ち消す。

「静まれ!汝らが勝手に弓の悪魔と呼んでいる者は悪魔の使いに非ず。私が地上に遣わした神の使いだ。名を『破邪聖弓』と言う。我が意を曲解し、他者を虐げたジャン・ボダンは私が破邪聖弓に命じて滅ぼさせた。今、我が意を信じず異を唱えたものも同じだ。私はこの地を、私の前で、全ての神への信仰を認め、開かれた国を創ると誓ったアルスラーンに委ね、私の代弁者たるこの娘をその伴侶として与えることを決めた。この地は汝らではなく、アルスラーンとこの娘が治めるものとする。汝らは祖国に帰り、そこを約束の地とするがいい。以上だ。さあ、私が伝えるべき言葉は全て伝えた。汝らは疾くこのパルスの地から離れるがいい。ここに残る者は全て破邪聖弓か、アルスラーンの兵に討たれることになる!」

エステルの言葉が終わるとともにイアルダボート神の姿が消えた。そしてラクシュの矢が何人ものルシタニア騎士を次々と射抜き、更にアルスラーンの「全軍突撃!」の号令が響いた。パルス陣営の全軍が棒立ちのままのルシタニア軍に襲いかかっていく。

「逃げろ!このままここにいても神の意に背くものとして殺されるだけだ!ルシタニアまで帰るんだ!」

そんな声が不自然に辺り
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