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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
第二章 神徒駆逐
第三十四話 断罪聖女
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いい手があるぞ、ナルサス殿。ルシタニア軍はイアルダボート教という一神教を信じ、己を神の尖兵と自認している。それこそが奴らが自分自身を支える柱な訳だが、それを叩き壊してしまえばいい。そうすればもう奴らは戦うことなど出来なくなる。…そうだな、ではエステル殿、お主にも少し働いてもらおう。お主の望みを叶える為なのだ。まさか、嫌なんて言わないよな?」
「ら、ラジェンドラ殿?お主、一体私に何をさせるつもりなのだ…」
俺はそれから一冊の台本を書き上げ、エステルに渡した。これを戦場でルシタニア軍に向けて話すようにと。一読したエステルは荒唐無稽で支離滅裂だ、こんな話を聞かされて一体誰が信じるのだと頭を抱えたが、諜者たちが説得力が増すような演出を加え、力の誇示も同時に行うから大丈夫だと繰り返し説得し、渋々承諾した。そして、いよいよエステルの出番がやって来たのだ。
「聞け、ルシタニア軍よ!私はイアルダボート神より選ばれし者。神の言葉をルシタニアの人間たちに伝えるよう言付かった者である。我が後ろには常にイアルダボート神がある。これが証拠だ!」
エステルの声は魔道により増幅され、ルシタニア軍全てにあまねく響き渡った。そして、その言葉とともに、エステルの背後に神々しく峻厳な佇まいを持つ巨大な人影が現れた。偶像崇拝を禁ずるイアルダボート教ゆえに、神の絵姿として伝えられるものは存在しないが、聖典の中の記述からこんな感じではないかというものを絵のうまい諜者に描かせたのだ。ちなみにナルサスも描きたいと言うので一応描かせてはみたが、お話にもならなかったのでボツにした。それを魔道を用いてOHPの要領で投影し、エステルの背後に諜者が魔道で塵を舞い上げ、それをスクリーンとしているのだ。
「おお、あれは、あれこそはイアルダボート神!」
と叫び、何人かのルシタニア兵が下馬し、跪いた。実はこの男たちはルシタニア軍中に潜入した諜者でサクラなのだが、勿論そんなこととは周囲の者は全く気付かず、皆それに倣うように次々と馬から降り、跪いていった。
「これよりイアルダボート神の言葉を汝らに伝える!ルシタニア軍よ、私は汝らに失望した。いつ私がマルヤムの民の信仰を誤ったものだと言った。いつ私が他国を侵し、攻め取ることを汝らに命じた。あまつさえ汝らは悪魔の手を借り、平原に霧を呼び、書物を焼くことを止めたものを邪悪な術で始末さえした。もはや汝らは神の子ではない。私、イアルダボート神は西方教会とその教えを利用し、罪なき民たちを虐げる政を行う者どもを破門する!」
「そ、そんな…」
「私たちはただ、聖職者たちの言葉を信じただけでございます!」
「上の命令に従っただけなのに、あんまりだ!」
「私たちはどうすれば許されるのですか?」
ざわめきがルシタニア軍の中に広が
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