第7話 末路
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》ら無いような違和感があった。
その目は空と白を見ていない。ただ倒すべき敵と設定した、『 』だけを見ている。そこに私情の存在余地はない────機械と変わらない、装置と変わらない。今のシグは空にはそう見えた。
そのあまりに歪な状態────だが、空はその状態に心当たりがあった。
────自分を、NPCと信じて疑わなかった時。
────自分を、自分と認識出来なかった時。
────白に、出会う前の……
……空は気付いた。今のシグの姿は────白、つまり支えてくれる存在がいなかった自分の末路だった。
「空。お察しだろうが、俺の目的はゲームだ。……お前は、俺とゲームする義務をかけろ。拒否権は無いから」
……もはやシグは、壊れていた。ゲームに縋るしか出来なくなっていた。
恐らくシグは、ゲーム以外の存在意義を持てなかったのだろう────『 』と同じように。そしてシグには、『 』とは違い理解者すら持てなかった。
壊れるのは────自明ですらある。否、シグは『盤上の世界』に来ていた時点で、既に────
空は、シグがとっくに壊れている事を悟った。無理をした人形が壊れるように。消耗した金属がポッキリ折れてしまうように。シグはとっくの昔に────破綻していたのだ。
────空はやがて、口を開きこう言った。
「……で?お前は何を賭けてゲームするんだ?」
破綻しているシグが、これ以上ゲームで増長すれば────止める術はない。シグにこれ以上のゲームを行わせるのは、精神破綻の助長に他ならない────それを空は理解していながら、あえてシグの提案に乗った。
シグはゲームを了承する空の言葉にほんの僅かな笑みを浮かべ、そしてこう答えた。
「俺の全権を賭けよう。文句はねえだろ?」
……元より『 』は、それを手に入れるためにゲームに応じるしかない。エルキア連邦の奪還は急務、故にシグは自分からそれを提示して『 』の退路を断ったのだ。
「戦略としては十二分だな。……いいぜ、ゲームはなんだ?」
どんなゲームにも応じるしか無くなった、その状況まで追い込んだ策士。
だがそれを前にしてさえ、空は不敵に佇む。
その様子に、シグは「それでこそ『 』」と笑い、告げた。
「ゲームは『残機制サバゲ―』……重ねて言うが、拒否権はないからな」
「……ルールを聞こうか」
ともすれば、没入将棋など比にもならない超難度のゲーム。如何に空と白のAIMが高かろうと、身体性能、スタミナ共
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