458部分:第三十五話 プラネタリウムその十一
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第三十五話 プラネタリウムその十一
「だから月美は料理の才能あるって」
「それでなんですか」
「そうだよ。何度も言うけれどさ」
相変わらず食べながらだ。そのうえでの言葉だった。
「月美料理の才能あるって」
「そうですか。私が」
「うん、あるよ」
陽太郎はまた言った。
「滅茶苦茶美味しいから、このケーキ」
「そんなにですか」
「月美も食べてみなよ」
ケーキは陽太郎のところにだけあるのではなかった。ちゃんと月美のところにもある。ただ彼女はまだ手をつけていないのだ。それだけだ。
「自分のそのケーキか」
「そうですね。それじゃあ」
「絶対に美味しいから」
陽太郎は笑顔で月美に話す。
「もう絶対にさ。食べたらわかるよ」
「はい、それじゃあ」
陽太郎のその言葉に頷いてだった。実際に食べてみた。すると。
一口食べてからだ。月美はこう言ったのだった。
「はい、確かに」
「美味しいだろ?自分の作ったこのケーキ」
「そうですね。とても」
食べてみればわかることだった。自分の舌に嘘はつけなかった。
「美味しいです」
「そうだよ、このケーキ美味しいよ」
陽太郎はとにかくこのことを言う。
「月美の作ったケーキってさ」
「自分でもこんなに上手くできるとは思いませんでした」
「だからあれだって」
その月美にまた話す。
「月美料理の才能あるんだって」
「だったらいいんですけれど」
「あるって。それでさ」
「はい。それで?」
「このケーキもいいけれど」
ケーキと一緒に置いてある白いカップの中のコーヒーを見ながらだ。また話すのだった。
「このコーヒーは何かな。これも凄く美味いけれど」
「あっ、そのコーヒーは」
「このコーヒーは?」
「キリマンジャロです」
それだというのである。
「お父さんが好きなんで。それで」
「家にあったのをなんだ」
「自分で淹れてみました」
コーヒーもだというのだ。
「そうしました」
「凝ってるよなあ」
「そうですか?」
「いや、俺の家じゃさ」
陽太郎がここで話に出したのは自分の家のことだった。
「コーヒーなんてあれだよ」
「インスタントですか?」
「それで紅茶はティーパックで」
紅茶についても話すのだった。それだとだ。
「そんな簡単のだから」
「うちも紅茶は同じですよ」
ティーパックだというのだ。
「それは」
「けれどあれだよな。普通にスーパーとかで売ってるのじゃないよな」
「まあそれは」
そう言われるとだ。否定しない月美だった。
「輸入したのを買ってます」
「何処から?」
「イギリスのものを」
紅茶の本場である。やはり紅茶といえばイギリスであった。
「それをです」
「だろ?やっぱりそこが違うん
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ