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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
第二章 神徒駆逐
第三十三話 敵将心攻
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。
その後も厳重に警戒することを部下に言い渡してから、儂は眠りについた。しかし、何処かに油断があったのだろう。翌朝起きてすぐ、陣幕に従者が転がり込んできて、それを悟った。
「大変です。高名な騎士の何人かが起きてこられません!昨夜の内に何者かの手にかかったようです!」
オルガノ、ジャコモ、ロレンソ侯爵、バラカードと更に何名か、儂の命令を受け、兵たちを直接動かす指揮官たちの命が失われた。しまった、これではまともに兵を動かせぬ。くっ、昨夜のこれ見よがしな夜襲、あれはその後の密かな夜襲の意図を隠すためだったか。儂はそれにまんまと引っかかったというのか!
「閣下、更にパルス軍が朝駆けをかけてきました!」
「くっ、慌てるな!落ち着いて対応しろ!」
しかし、味方の動きが鈍い。指揮官不在で兵が右往左往しておる。眼の前の敵にばかり注意がいって、周囲と連携が取れておらぬ。各個に分断され、撃破されるばかりだ。しかも、本陣にまで敵兵がなだれ込んで来おった。率いているのは両手に剣を携え、見事な美髯を蓄えた男だ。
「ルシタニアの主将だな!俺は双刀将軍キシュワード!お主らルシタニア人がアトロパテネで盗んだ勝利を、取り返しにやって来た!お主らが盗賊ではないと言いたいなら勇気によってそれを証明するがいい!」
ここまで言われては引き下がるわけにもいかない。儂は真新しい戦斧に持ち替え、馬腹を蹴って奴に斬りかかった。だが、奴の双剣が目まぐるしく繰り出され、攻めあぐねるどころか防戦一方に追い詰められていく。やがて奴の左の剣が儂の戦斧を持った手ごと斬り飛ばし、右の剣が儂の首筋を貫いた。
「も、申し訳ありません。陛下…」
儂とモンフェラートは貴方に取り立てて頂いた。貴方を陛下と呼ぶのが、我らの夢だった。先帝が異教徒の女に殺されたせいだったとしても、貴方が即位された時は本当に誇らしかった。貴方が歴史に不滅の名前を刻むのを傍で見届けたかった。こんなに早くお別れすることになるとは…。
◇◇
こうして最初の大規模な野戦はパルス側の勝利に終わり、ルシタニア軍は二万五千の兵を失った。敗残兵たちはギスカールの元へ向かったことだろうが、ボードワンを討ち取れたのが大きい。その他の指揮官もわざと稚拙な夜襲をかけ失敗した後、諜者たちに闇討ちさせたしな。夜襲の後で油断しきって寝こけている者が大半だったので簡単な仕事でしたとフィトナが笑っていたわ。
ボードワンとの戦いではエステルは温存した。まだルシタニアの兵力はパルス軍よりも多いし、ここで多少なりとも削っておくのが先決だろうからな。出来ればエステルの話はルシタニアの多くの将兵に聞かせたい。雪崩を起こすなら、雪が少ない場所よりもたくさん積もった場所の方が効果は高いはずだしな。
さて、更にギスカール
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