「シリカとわたしは特別な『なかま』だそうです」
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ら、こちらからは見えないように調理を始めていく。恥ずかしいからか、楽しみをとっておきたいからか、ゆらゆらと揺れる猫妖精特有の尻尾を眺めつつ、ショウキたちは肉まんの完成を待つしかない。
「何か手伝えることはありますか?」
「よければ、ピナの面倒を見ててくれれば」
「それならバッチリです。ピナとはすっかりお友達です」
「……しかし、どうしていきなり肉まんなんだ? アスナにでも憧れたか?」
「うーん……当たらずとも遠からず、です」
小動物と戯れるプレミアを尻目にしつつ、ふとショウキも、気になっていたことをシリカに聞いてみると。背後からでもシリカが苦笑したことが分かる、微妙な答えが返ってきていた。
「言いたくないなら……」
「あ、いや、別にそういうことじゃないんです。アスナさんももちろんですけど、この肉まんはどっちかっていうと、リズさんへの憧れなんです」
「リズの?」
「あのですね。ショウキさんは麻痺してるかもしれないですけど、店を出すって凄いことなんですよ?」
こと料理に関しては話題がでないだろうと思っていた彼女の名前を聞いて、ショウキは不覚にもすっとんきょうな声を出してしまう。とはいえ料理のことではなく店のこととなれば、リズのことだと合点がいって、シリカのやりたいことまで察することが出来た。
「……それで、店を出してみたいって?」
「えへへ……恥ずかしながら……」
エギルさんにもちょっとしたアドバイスをしてもらってるんですよ――と、嬉しそうな声をもらすシリカを見るに、どうやらショウキが察した答えは正解だったらしい。店という出店、屋台といったレベルの代物であれば、少し稼げるプレイヤーならば充分に開業が可能だ。もちろん、その店が流行るかどうかは別問題だが。
「おいしそうな匂いがします……」
「さすがプレミアちゃん。もう出来るから……ねっと」
そんな肉まん屋台の主戦力。ドラゴンの尻尾を作った肉まんが完成した……と察したようで、今までピナと遊んでいたプレミアが、ピクリとそちらに反応する。とはいえプレミアの食べ物に関する嗅覚は侮れるものではなく、事実、シリカが蒸し器をショウキたちの目の前の机に乗せた。
「そういうわけで、これがわたしの店の主力商品予定のドラゴン肉まん……《ドラまん》です!」
「おお……!」
そうして現れた《ドラまん》は、苦労してきた甲斐もあった贔屓目でもあるだろうが、先に作ってもらった肉まんとはまるで違うものだった。蓋を開けた瞬間に分かる、黄金色に輝くかのようなソレに、ショウキはつい感嘆の声を漏らしてしまう。シリカが慣れない手つきでそれぞれ四人分の小皿に盛りつけ自身も座席について、食事の準備は完璧なものとなって。
「では、
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