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空に星が輝く様に
456部分:第三十五話 プラネタリウムその九
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第三十五話 プラネタリウムその九

「いよいよね」
「お星様をですね」
「見ましょう。最後はそれよ」
「はい、買うものを買って食べてから」
「奇麗なものを見る。いい流れよね」
「そうですね。本当に」
「まあ普通はデートで巡るものだけれど」
 ここでだ。先輩はこんなことも話した。
「それでもね。これもね」
「いいですよね」
「貴女はデートしたことあるのかしら」
 星華はふとこんなことを尋ねられた。先輩に。
「どうなの、それは」
「デートですか」
「したことある?どうなの」
「実は」
 困った顔になってだ。答えた彼だった。
「そういうのは」
「ないのね」
「はい、ないです」
 正直に先輩に答えた。好きだった相手はいてもだ。そうだったのだ。
「それは」
「そう。それじゃあ」
「それじゃあ」
「今度は誰かと一緒にこうするといいわ」
「デートで、ですか」
「女の子同士もいいけれど」
「そういうことなんですね」
 先輩の言葉の意味がよくわかった。言葉の中にあるものもだ。そうしたものを感じ取りながら。そのうえで話を聞いて頷くのだった。
「わかりました」
「そうよ。じゃあ」
「はい」
 また先輩の言葉に頷く。そしてだった。
 二人で席を立って勘定を済ませてだった。行こうとしたところで。
「あっ、待って」
「はい?」
「大切なこと忘れてるわよ」
 こう先輩に言われたのである。
「手形書いてないでしょ」
「あっ、そうですね」
「そうよ。書いてからね」
「それからですね」
「そう、それからね」
 行こうというのである。
「そういうことはしっかりとしないと」
「すいません、つい」
「わんこそばを食べたらどうするか」
 先輩はにこりとして星華に話した。
「最後はそれだからね」
「手型ですよね、やっぱり」
「そういうこと。それじゃあね」
「はい、それじゃあ」
 それも書いてだった。そうしてだった。
 それも終わってから屋上に向かいだ。プラネタリウムに入るのであった。
 その頃椎名と赤瀬もだった。二人もだった。
「本買ったしね」
「そうだね」
 椎名は見ればだ。文庫本を持っていた。それは。
「この本。あったからよかった」
「舞姫。そうだね」
「うん。赤瀬は何買ったの」
「僕はこれ」
 彼もまた文庫本だった。それは。
「石川淳にしたよ」
「通ね」
「通かな、これって」
「そう、石川淳は中々いい」
 こう赤瀬の手の中にある本を見て話す。
「太宰と同じ流れの作家だけれどまた違うし」
「ああ、新戯作派だね」
 無頼派とも呼ばれる。終戦直後の作家でそこに分類されるのは他に織田作之助や坂口安吾がいる。既存の観念を否定し自分達の道を進んでいた作家たちと言う
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