06.そうだ、刑務所に逝こう。
第8回
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「………で、ここが地下牢獄です。危険な囚人や、殺人ドールを捕らえておく場所として使われています」
「へぇ」
薄暗い地下牢獄の入り口で、聖月と琴葉は足を止める。奥には階段が続いており、君が悪い雰囲気が漏れ出しているように琴葉は感じる。
「中を案内しますね」聖月は看守用の制服のポケットから、小型の懐中電灯を取り出し、中へと入っていく。その後を琴葉は、不安そうな顔で追い掛ける。
階段を降りきると、灯りは壁に付けられている松明くらいしか無く、通路が何処まで続いているのかが分からない。永遠と続いているようにも思えてしまう。
「少しわかりにくいと思うんですけど……」聖月が懐中電灯を左の方に向ける。其処には鉄格子があり、その奥には囚人が居た。「この左右に牢が並んでいます」
その囚人の姿は、きっと外にいたときより随分と変わり果てている。触れれば折れてしまいそうな程まだ細くなった腕。青白い肌からは生気を感じることが出来ない。
それを見て、琴葉は喉の奥で小さく悲鳴をあげた。普段、躊躇いも無く殺しを行う琴葉が、大きく目を見開いて、その場で硬直している。
―――如何為て? たった一人の囚人を見せられただけで、私は動けない?
「琴葉さん?」硬直した琴葉を見て、聖月を声を掛ける。
―――否、たった一人の囚人じゃない。私と似ているんだ。昔の、幹部共の玩具に為れていた時の私に。
「ハァ………」琴葉は長く息を吐く。それを見て、聖月は頭の上に疑問符を浮かべる。「何でも無いよ。地下の案内は為なくてもいいよ」
そして、二人は再度地上へと戻る。
◇ ◆ ◇
食堂で、囚人達が夕飯を食べている様子を見つつ、琴葉達は夕飯を食べた。かなり豪華なモノで、囚人達が羨ましそうな眼を向けていたことには誰もが気付いた。
夕飯の後、看守に用意されている寮に移動し、其処で琴葉達は交代で風呂に入る。それぞれ、ゆっくりと湯船に浸かり、各自明日に備える為、看守寮の空き部屋を借りて、各自決まった部屋に入る。その前に、一つ揉め事があったが、それは三十秒程で解決された。
「フランさん」灯りの消された部屋。カーテンの隙間から差し込む月光が、ベッドに転がる二人の影を作る。
「何だい? 琴葉」二人、琴葉とフランは、ベッドの上に、お互いに向き合って転がっている。
「矢っ張り私、ソファで寝ますね?」既に解決された揉め事とは、琴葉が何処で寝るかと言う話である。ソファで寝るか、フランと添い寝をするか。それを、フランは無理矢理「首領命令」と言って収めたのだ。
「駄目。未だそれを言い続けるなら、今日は寝かせてあげないよ?」フランは不敵な笑みを浮かべ、琴葉は引き攣った笑みを浮かべる。「否、言い続けないとしても、矢っ張り寝かせてあげない」
「
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