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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
第二章 神徒駆逐
第三十二話 要害攻略
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よし、原作知識を応用しよう。

◇◇

「何?戦いに備えて鹿や野牛をシャフリスターンの野に狩りに行きたいだと?」

「はい、糧食の備蓄は大丈夫かと兵たちから不安の声も上がっていますし、城に籠もりきりでは士気も下がってしまいます。ここは一部の兵だけでも狩りのために外に出して狩りをさせ、不安の解消を図るべきだと愚考します」

部下の進言に儂、クレマンス将軍はしばし考え込んだ。確かに一理あるかもしれないが、しかし時機の問題もある。

「しかし、敵の王太子の軍勢が接近しつつあるとの知らせも入ってきている。今この時期にそれをするのは危険ではないか?」

「確かにそれはありますが、斥候の意味でもやってみた方が良いのではないでしょうか?それになるべく大陸公路を迂回し、敵に発見されないよう努めますので」

そこまで言われては反論の余地もない。とりあえずやらせてみることにしたのだが、まさか狩りから帰還する味方を追いかけて敵までもが城になだれ込んでくるとは。

「いかん、門を閉めろ!早く閉めるのだ!」

そう命令したのだが、門兵は突如として地面から頭と両腕を突き出した人影に足を切られ、苦悶の余りしゃがみ込んだところを今度は喉を突かれ絶命した。何人もの兵が門を閉めようと門に駆けつける度に同じ光景が繰り返され、ひるんでる隙に敵が突入してきた。

城壁から急いで駆け下り、馬を引かせて戦闘に参加した。が、そこに周囲の人馬を薙ぎ倒しながら猛然と襲いかかってきた者があった。人馬ともに黒一色。いや、翻るマントの裏地だけが血の色で染められたかのように赤い。

こ、これは、アトロパテネでルシタニア軍の数多の名のある騎士を馬上から斬って落としたという黒衣の騎士!遮ろうと立ちはだかった味方も血煙を上げて次々と倒れていく。儂は自分が恐怖の叫びをあげるのを止められぬまま、太陽の光を浴びて輝くパルス騎士の長剣が自分に落ち掛かるのを見た。そしてそれが儂の人生最後の記憶となった。

◇◇

諜者を使って兵士の間に糧食の備蓄が不安だとの噂を流し、シャフリスターンで一狩りすればいいんじゃね?というアイディアを自ら思いつくよう士官を誘導する。その上で原作と同じ流れで城に突入させ、門を閉じるのを阻む。文弱で優柔不断なバルカシオン伯と違い、クレマンス将軍ならすぐに閉門しようとするだろうが、そこもまた地行術を使える諜者に邪魔させる。

何か独創的な策を考えようかとも思ったが、原作というお手本があるんだし、それを活かそうかと思ってな。それに、この挙兵の序盤ではザラーヴァントやイスファーンなどの新参の将に功績を挙げさせようとナルサスは考えていたはずなのに、それが意外とおざなりになったままなのも気になっていたからな。こういう頭を空っぽにして戦える戦場で思いっきり戦わせた方
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