第一章
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許嫁には内緒
如月ひよりの家は暗殺者の家だ、だがそれは裏のことで表向きはかつては大地主で今は不動産業や造り酒屋をしている。
それでだ、ひよりの義理の両親がこう話していた。
「我が家の本職は暗殺者だが」
「間違っても外道ではありません」
「受け持つ仕事は選んでいる」
「相手は人の道を外れた外道だけ」
「生きていて仕方のない悪党だけを殺している」
「そうした仕事だけを受けています」
多額の報酬を得ていてもとだ、両親は言うのだった。
「そして人を殺めるには苦しめない」
「そのこともわかっておくことだ」
「例え人を殺めるにしても」
「そのことはわかっておくことだ」
「はい」
ひよりも両親に頷く、そしてだった。
ひよりは暗殺者として剣術それに毒の術を学んでいき瞬く間に凄腕の暗殺者となった。だが義理の両親も義理の兄もだ。
決して善人を殺めることはなくそうした仕事を受けることもない。それでひよりも外道だけを斬り毒殺していた。
とある悪名高い過激派あがりの学者を殺して家に帰ってだ、ひよりは両親に言った。
「確かにです」
「そうか、仕事をしてきたか」
「そうなのですね」
「はい、一太刀で」
まさにそれでというのだ。
「消してきました」
「うむ、あの学者は学者というがな」
「実は過激派出身で今も過激派と結託していました」
「そしてテロも扇動しようとしていた」
「大学ではセクハラとパラハラの常習犯でした」
「その学者にセクハラを受け自殺した女学生の両親の依頼だったが」
「見事果たしてくれた」
両親はひよりに微笑んで話した。
「よくやってくれました」
「見事だった」
「はい、それでは」
「それで、ですが」
母親がひよりに言ってきた。
「明日のことですが」
「あの方とですね」
「会いますね」
「そうしてきます」
ひよりは母に微笑んで答えた。
「今から楽しみです」
「それは何よりです。ですが」
「当家の裏の仕事のことはですね」
「言う必要はありません」
つまり秘密にしろというのだ、絶対に。
「宜しいですね」
「承知しております」
ひよりも確かな声で答えた。
「このことは」
「そうですね、では」
「あの方にお会いして共に時間を過ごしてきますが」
「婚礼の日まで操を守ることと」
「このことはですね」
「必ず守りなさい、いいですね」
「わかりました」
ひよりは母に礼儀正しく答えた、そして次の日に。
家同士で決めた許嫁と会った、だが相手の家はひよりの家が実は暗殺者の家であることは知らない。ただの昔ながらの良家同士の婚姻だった。
それでだ、許嫁はひよりを普通のお嬢様姫と呼ばれる程の人でおしとやかで気品がよく優しい女性
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