巻ノ百四十九 最後の戦その七
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「貴殿はかつては浪人であったとか」
「昔のこと」
根津はこう双刀に返した。
「殿とお会いするまでの」
「その時から剣の腕を磨き」
「そして殿にお会いし」
そしてというのだ。
「それからも剣の腕を磨いてきております」
「そしてその腕に至ったか」
「はい」
まさにというのだった。
「この通り」
「そうか、よい主に出会えて」
「そうしてです」
まさにというのだった。
「より腕を磨けた次第」
「何故腕を磨かれた」
双刀は根津と斬り合いつつ彼に問うた。
「それは」
「最初は強くなりたかっただけ」
「それだけだったか」
「左様、最初は」
そうだったというのだ。
「それだけでした、しかし」
「今は違うと」
「左様、今は殿と共に戦い殿の為になるからこそ」
だからだというのだ。
「剣の腕を磨いている次第」
「成程な」
「それが間違っていると」
「いや」
双刀は鋭い目で根津に答えた。
「そう思えるだけの方を主に持てた」
「そのことがですか」
「根津殿の幸せかと」
そうだというのだ。
「それがしが思うに」
「そう言って頂き何より」
「そしてそれは」
「双刀殿もですな」
「左様、我等の主は半蔵様」
伊賀を率いる彼だというのだ。
「半蔵様程の主はおらぬ」
「だからですな」
「半蔵様の為に戦う、では今は」
「どちらの剣が上か」
「競おうぞ」
「さすれば」
二人はお互いに剣撃を繰り出し合いそうしてだった。お互いに一歩も退かぬ戦いを繰り広げていた。
幸村達はさらに進む、そして今度はだった。
幻翁が出て来た、幻翁は幸村達の前に出て言った。
「ここを通りたければそれがしを倒すこと」
「そう言うか」
「左様」
まさにというのだ。
「ここは」
「そうか、ではな」
「殿、ここはです」
幸村が前に出ようとしたところでだ、筧が出て彼に言った。
「それがしが」
「十蔵、お主がか」
「はい」
引き受けるというのだった。
「ですから先に行かれて下さい」
「そうか、しかしな」
「はい、必ずですな」
「生きて帰れ」
こう言うのだった。
「よいな」
「わかり申した、それでは」
「ここは戦う」
こう言ってだ、そしてだった。
今度は筧が残った、そうして彼は幻翁と門前での闘いに入ったが。
幻翁は得意の幻術を使い筧に幻を見せてだった。そうして。
そこに妖術を織り交ぜる、しかしだった。
筧は幻術は使わないが様々な術、火や氷を出して幻翁を攻める。そのうえで幻翁に対していた。そしてだった。
自分と互角に闘う筧にだ、彼は言った。
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