450部分:第三十五話 プラネタリウムその三
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第三十五話 プラネタリウムその三
「彼氏をね」
「そうですね」
しかしだった。ここではだった。
星華は顔を曇らせる。どうしても俯くことを止められずにだ。そのうえでそうなってしまってからだ。先輩の言葉に応えるのだった。
「何時か」
「できるわよ。絶対に」
「絶対にですか」
「貴女ならね」
星華ならというのである。
「絶対にできるわ」
「だといいですけれど」
「まず可愛いし」
これはだ。先輩の真面目な言葉だった。
「顔立ち整ってるじゃない」
「だといいんですけれど」
実は星華は自分の顔に自信がない。不細工だと思っていたことすらある。しかし実際はそう言われたことはなかったりするのだ。
「私の顔。そんなにいいですか」
「いいわよ。だからまずは顔がいいし」
先輩が彼女について話すのはまずそこからだった。
「それに髪だって奇麗だし」
「髪もですか」
「スタイルもいいじゃない」
今度はこれだった。
「すらりとしててね」
「けれど胸は」
自分からだ。苦笑いで言ってしまった言葉だった。
「ないですけれど」
「胸は人それぞれよ」
「それぞれですか」
「大きいのが好きな子もいれば小さいのが好きな子もいるわよ」
男の具体的な好みの話であった。
「胸はね」
「そうだったんですか」
「だって。女の子もそうじゃない」
「女の子もっていいますと」
「だからね。痩せている人が好きだったり太っている人が好きだったり」
「そういう好みですか」
「それぞれじゃない」
先輩はまた星華に話した。
「筋肉質な人が好きな娘だっていれば」
「ジャニーズみたいな感じな人が好きな場合も」
「それは本当にそれぞれでしょ」
「そうですね。言われてみたら」
「そういうことなのよ」
これが先輩の言葉だった。
「それと同じなのよ」
「じゃあ胸は」
「気にしなくていいわ」
先輩のこのことに対する結論だった。
「そういうことだから」
「わかりました」
「一番大事なのは」
先輩の言葉が続いていく。
「何かっていうとね」
「それは何ですか?」
「性格よ」
そのものずばりだった。それであった。
「性格が一番大事じゃない」
「性格。そうですね」
これは星華もよくわかっていた。実によくだ。
「性格が悪いとそれだけで」
「もう駄目よ」
先輩はここではばっさりと切り捨てた。二人は今駅のプラットホームに並んで立って電車を待っている。駅の電光掲示板にだ。矢印と漢字で電車が今何処にいるのかが示されていた。それを見れば来るのは間も無くだった。
「それだけでね」
「そうですね。それは」
「そう。けれど貴女は性格も」
「いいですか?」
今は胸以上に自信のないことだった。月美
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