7. 余煙
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「や。徳永さん」
「あんた……」
職場の出口の前で、純白の制服に身を包んだ提督さんが、俺の帰りを待っていたようだ。俺が早退になったからよかったものの……もし定時まで俺が仕事をしていたら、その時間まで待っているつもりだったのだろうか。
「待ってたんすか」
「ああ。徳永さんと一杯やろうと思って」
「なんでまた……」
「キミたちだって、まるゆの時は弔いをしてたじゃないか」
「ポテトチップスと牛乳でですよ……あんなん弔いでも何でもないでしょう……」
提督さんと二人で、帰り道を歩く。しばらく歩けば商店街に出る。そこまで歩けば、飲み屋も何件かあったはずだ。
……肝心な事を忘れていた。俺の相棒は……木曾は何が好きだったのかを、必死に思い出す。あいつは何を飲んで、何を好んで食べていた?
あの日、木曾が俺に『まるゆにとって、俺はいい相棒だったかなぁ』とぼやいていた気持ちが、今やっと理解できた。
「なぁ提督さん」
「ん?」
「あいつ、何をよく飲んでたんですか」
「その日入荷した日本酒を飲んでたから、あまりこだわりはなかったみたいだけど……獺祭は受けが良かった」
「好きな食べ物は?」
「どこか店に入ったら教えるよ。もしメニューになかったら、厨房借りて俺が作る」
「ありがとう。……なぁ提督さん」
「ん?」
「俺はあいつにとって……いい相棒だったかな」
「本人に聞いてみるといい」
「もう聞けないから聞いてるんですよ……」
終わり。
?
――お前のキス……味は最悪だが、悪くはなかった
しばらくはごめんだがな
じゃあな 相棒
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