第五次イゼルローン要塞攻防戦5
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砲――トールハンマーだろう。アレスもまた最初に調べたのは、トールハンマーのことだ。
だが、その情報はいまだ同盟軍には知られていない。
被害総数から、相当な電力が消費されていることは理解しているが、その主砲の形状や動作に至る細かいことまでは理解できていない。向かい合った艦隊は全てが塵すら残さず消えており、周囲の艦隊から見ることができるのは分厚い光の円柱が味方艦艇をかき消していく姿が確認されている。
その有効射程範囲や威力は推察ができても、具体的な主砲の情報は一切なかった。
それはいまだに敵の要塞指令室の場所がわからないことや同様の主砲が同盟で作られていないことからも明らかであった。
つまり、具体的な動作は一切わからない。
それは原作でも同様だ。
描かれるのは、要塞から砲口をのぞかせて、敵に対して攻撃する。
だがと、アレスは疑問を抱いた。
トールハンマーは細かな狙いをつけることが可能であり、決して一方向だけを攻撃できるものではない。もし砲口が存在していれば、その射線からずれることで容易に回避することが可能であっただろう。
砲口が可動式であって、必要に応じて角度を変えられるのか。
それも難しいと思う。
いかに角度をつけることができたとはいえ、あくまでも要塞の中に収まる範囲だ。
巨大すぎる要塞の中で、角度の差だけで三百六十度を賄うことは不可能。
ならば、複数に方向を設置しているのか。
それこそ無駄であろう。要塞に必要なのは主砲だけではない。
一万もの艦隊が収納できるように作られているのだ。主砲だけでスペースを作ることは無駄だ。
単純に砲口を設置するだけでは、その威力と柔軟性が説明できない。
そう考えて思い出したのは、イゼルローンの主砲の説明だ。
何万億キロワットだか忘れたが、それは強大な電力によってまかなわれているのだろう。
まさに雷のような破壊だ。
ならば、わざわざ砲口を設置する必要はあるのか。
それはあくまでもアレスの想像であったが、アレスの目に映る姿は、それを捉えていた。
イゼルローン要塞が明るく光りだせば、その射線の先――アレスの艦隊に向けて、稲妻が集約していく様子。
一点に力を集約して、放出する。
それはまさしく、神の雷であって、放たれれば塵すら残さずに消していく。
だが。
と、アレスは思う。
集約され、一撃のもとに放出される光の帯。
それは絶対的な力であるが、集約という一点においては隙があるのではないだろうかと。
即ち。
「全艦隊、全力移動へ移行」
敵の狙いは第五艦隊分艦隊。
そこに敵の駐留艦隊は存在するが、もはやそれは気にも留めていないのだろう。
通常であれば、後退をしたところで光の帯から逃れ
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