第五次イゼルローン要塞攻防戦5
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はいたが、当然の意見に絶望の色が深くなる。
それでも恐慌に狂わないのは、最前線に立つ精鋭としての維持か。
「そうか。で、君はどう思う」
「良い感じで敵も混乱しております。賭けに出るには十分ではないかと」
「かけか。勝率はどうかね」
「高いと考えておりますが。どうも小官の賭けの才能は昔から悪いのです」
スレイヤーが笑った。
「安心しろ、私は賭けには負けたことがない」
死ぬ前にしては随分と明るい会話に、周囲の参謀たちも呆然として見ていた。
だが、そんな様子に対して、どこか安堵を浮かべる者たちがいた。
ローバイク。
コーネリア。
そして、セラン・サミュールだ。
アレスを知っている者たちは、みな理解していた。
死なない。少なくとも、彼は死ぬつもりはないのだと。
「あたっては欲しくないことが、あたるものだ。マクワイルド大尉、こちらへ」
「良いのですか」
「この作戦を一番理解しているのは君にほかないだろう。気にするな、成功しても失敗しても、責めるものなどおらん」
どういうことだと、尋ねようとした参謀たちの前をアレスが通った。
司令官の立つ席をスレイヤーが譲れば、アレスが代わりに立った。
持て余していたベレー帽を外して、周囲を見る。
「申し訳ないが、詳しく説明している時間はない。マクワイルド大尉作戦を」
「わかりました。コーネリア大尉――手元の端末で、D-3を開いてくれ。各艦隊にも端末でD-3を開くよう指示を」
言葉に戸惑った視線――スレイヤーが同意をするように頷けば、慌てたようにコーネリアは端末を操作する。
前方のモニターに映し出されたのは、艦隊運用計画だ。
青い光点の動きに、誰もが目を見張った。
「これは……こんなことが可能なのか」
「可能かどうかはやらなければわからない。だが、敵に突撃するよりは魅力的ではないかね」
「マクワイルド――大尉だったか。これは実現可能なのか」
「シミュレート上では。ですが、生き残るにはこれしかないと思います」
「そうか。小官はクリス・ファーガソン大佐だ。我々も力を貸そう」
「ありがとうございます」
ファーガソンの言葉に、アレスは一度頭を下げて、再び正面を見た。
「見てのとおり。これは非常に賭け近い作戦だ。だから、みんな力を貸してくれ」
「はっ!」
力強い返答とともに既に兵士たちは、アレスの指示したD-3行動に向けて、それぞれが動き出している。端末をたたき出す音に対して、アレスはベレー帽を脇に置いて、イゼルローン要塞を見た。
真っ白な光の輝きは、既に要塞全体を包み始めていた。
要塞主砲――砲撃まで、残り二分。
+ + +
イゼルローン要塞を調べていて、誰もが頭に浮かべるのは要塞主
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