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空に星が輝く様に
445部分:第三十四話 夜空にあるものその九

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第三十四話 夜空にあるものその九

「それじゃあ。そこにね」
「はい、そこで食べましょう」
「カレーもあればオムライスもあって」
「焼きそばも美味しいですよ」
「飲み物もね」
 先輩はそれについても話した。食べるだけではないのだ。
「メロンソーダに冷やしあめに」
「身体によくないって言われますけれどね」
「そんなのいちいち気にする必要ないのよ」
 そうしたことにはこだわらないというのだ。これは人によってはこだわるがだ。先輩はそうした考えの人間ではないのであった。
 そして星華もだ。先輩のその考えに傾いて言うのだった。
「安くて美味しいものをたっぷりとですね」
「それが高校生の食べ方じゃない」
「そうですね。あそこはだから」
「いいのよ。じゃあね」
「はい、今度の日曜に」
「行きましょう」
 こう笑顔で話す二人だった。星華の顔に笑顔が戻ってきた。
 そして椎名はだ。この時赤瀬と共に駅のプラットホームにいた。暗くなり蛍光灯で白く照らされているそこにいてだ。二人で話すのだった。
「ねえ」
「何かな」
「今度の日曜だけれど」
 椎名からの言葉だった。
「デートしない?」
「デート?」
「そう、デート」
 こう赤瀬に提案するのだった。
「デート。どうかな」
「いいね。それじゃあね」
「場所は」
「何処にするの?そこは」
「百貨店」
 そこだというのだ。
「そこの屋上のプラネタリウム」
「そこに行くんだ」
「それと本屋」
 告げた場所はその二つだった。
「そこに行きたい」
「本屋もなんだね」
「今度は森鴎外」
 明治から大正の文豪である。医者でもあり陸軍軍医総監として軍においても非常に強い影響力を持っていた。だが今では文豪としての彼の方が有名である。
「それを読みたい」
「鴎外なんだ」
「うたかたの恋」
 題名も言うのだった。
「それを読みたい」
「それでなんだね」
「そう。だから本屋も」
「わかったよ。じゃあ僕は」
「何処に行きたいの?」
「一階のスナックランドだけれど」
 そこだというのだった。
「そこでお昼どうかな」
「いいと思う」
「あそこ安くて量も多いしね」
「しかも美味しい」
「だからそこでどうかなって思ってね」
 それでだというのだ。確かに赤瀬に相応しい店であった。
「色々な食べ物もあるしね」
「確かに栄養は大切」
 椎名はそれはよくわかっていた。
「健康第一。けれど」
「けれど?」
「そうした食べ物を食べるのもいい」
 こう赤瀬に話すのだった。

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