第三章
[8]前話
「あの時は何時終わるのかと思っていましたが」
「今はですね」
「もうです」
最早というのだ。
「戦争が終わって七十年以上」
「そしてソ連もなくなり」
「何もかもが大昔です」
「そうなりましたね、それでその知人の人は」
「ははは、どうしているかですね」
「どうなりました?」
青年はユーリィが言葉の中で漏らしていることに気付かないまま彼に尋ねた。
「スターリンやソ連に歯向かう組織を作って」
「さて。もうソ連はないですからね」
「それじゃあ」
「もう当面の敵はいなくなりましたね」
ソ連が崩壊したならというのだ。
「完全に」
「そうですよね」
「はい、ですが世の中は色々ありまして」
それでと言うのだった。
「今もです」
「その組織は存在していますか」
「そうかも知れませんよ」
「面白い話ですね、あの戦争に勝って」
「かえってそうした組織も出来たのですよ」
「このロシアに。そして今もですか」
「そうかも知れないですよ」
ユーリィは青年に笑って話した。
「若しかすると」
「だとすると面白いですね、このロシアにもそうした組織があるって」
「夢がありますか」
「そう思います」
青年はユーリィに笑って話した、そうして飲んでいくのだった。
二人共相当に飲みそのうえで一緒に店を出て再会を約束して別れた、ユーリィはその足で雪が降る中を歩いていき。
アジトに戻った、そのうえでアジトに集まっている同志達に話した。
「次の仕事のお話をしますか」
「はい、旧ソ連政府の高官が隠し持っていた財宝」
「それを狙うとのことでしたね」
「ではそのことを」
「これから」
「お話しましょう」
こう言ってだ、同志達とその仕事について話すのだった。彼はあの戦争が終わってから今も裏では義賊をしている。スターリンそしてソ連との彼の戦いは終わった、だが祖国にある悪との戦いは終わっていないのだった。
思えば昔のこと 完
2018・8・19
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ