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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
第二章 神徒駆逐
第三十一話 内海避客
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を利用して城内に誘い込み、罠と伏兵で一網打尽にしたのさ。始末できなかった兵には逃げられたが、奴らが援軍を伴って戻ってくる前に一気に脱出してきた訳さ」
「なるほどな…」
つまり原作通り敵は内通者を使おうとしたが、仕掛けるのが早過ぎて逆に嵌められた訳か。だとしても、一年半以上も援軍の来ない籠城戦を続けられるわ、策を逆手に取って嵌めるわ、そこら辺の男より遥かに強そうな気配を醸し出してるわ、こいつ何かの間違いで王家なんかに生まれたクチだな。さぞや、お前みたいな王族がいてたまるか!とか言われてきたことだろうよ。俺もだが。
「建国以来の祖法でな、内親王は王位を継げないことになっているのだ。お主、私と結婚してマルヤムの王となってくれないか?」
待て、本気なのかこいつ。
「俺でいいのか?年は多少離れていても適性の有りそうな奴は他にいるんじゃないか?」
「ああ、十年ほど前にはギスカールに声をかけたんだがな。兄が心配だからと断られた。存外に兄思いでな、あいつ」
それにギスカールが他国に行ったら、その他国にルシタニアが滅ぼされそうだもんな。あのイノケンティスじゃひとたまりもないだろうし。ルシタニアがギスカールを手放す訳もないわな。
「で、どうだ?貧しい国ではあるがな。ここまでぶっ壊れてしまったんだ。この際好きなように作り変えて構わんが、どうだ?」
「そうだな、今から言う条件を呑んでくれるのならいいぞ?」
そして、俺はその条件を口にした。ミリッツァの反応は芳しいとは言い難かった。
「…お主なあ、それを私に言うとはどういう神経してるんだ?とてもまともじゃないぞ?」
「昔から決めていたことなんだ。俺が俺と交わした誓約だな。もし俺が王になれるのなら必ずこれを実現しようと。それが実現できないなら王になんてならないとな」
「ああ、もう、判った、判ったよ。それでいいさ。私としても、あんなものがそこらで野放しになってるなんてゾッとするからな。お主がどうかしてくれるんならその方がいいさ」
よし、それなら心置きなく王になれるな。さて、その前に片付けるべきものを片付けるとするか。
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