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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
第二章 神徒駆逐
第三十一話 内海避客
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だけだった。しかも夫のヒルメスは実はマルヤム侵略に加担すらしてたんだぜ。そんなのの子を産もうとしてそれで命を落とすだなんて、彼女に故国回復の願いを託して死んでいった多くのマルヤム国民はどう思っただろうかね。彼女に裏切られたマルヤムの英霊たちが彼女に祟って、それで彼女が死んだというのが真実でも不思議はないと思えるくらいだ。

そんな内親王殿下が俺に会いたいだって?ああ、会ってやろうじゃないか!そしてはっきりと言ってやるさ。ヒルメスなら俺が殺してやったと。だから心置きなく、この世界のあんたは故国回復に専念するべきだと。そう言ってやろうじゃあないか!


と思っていたんだけどな…。

あれ?おかしいな。この内親王、目がちゃんと開いてるぜ?明き盲って訳じゃあ無かったよな?それにメルレインが思わず心惹かれてしまうほどに、ひ弱すぎるぐらいにおしとやかだったはずなのに、この内親王、やたらと背が高くてガッチリしてるぜ?へその見えるドレスを着てるんだが、どう見ても腹筋が割れているように見えるぞ?それにこの内親王、今、俺を見て微笑ったぞ。しかも、あえて擬音にするなら、「ニコリ」じゃあない。「ニヤリ」としか言いようがない、太い笑みを浮かべて、だ。

「おお、会いたかったぞ、ラジェンドラ王子。薄情にもイリーナのことを忘れて、ルシタニアのマルヤム侵略に加担すらしたヒルメス王子なんかよりもずっとな!」

…今、何か耳を疑うようなことを言われた気がする。

「ヒルメス王子のこと…知ってたのか?」

「ああ、そりゃあ知ってるさ。最初の頃あの男は仮面なんか付けてなかったんだ。それでいてあの火傷だろ?多くの人間があれはヒルメスだと知っていたさ。イリーナなんかは心痛の余り寝込んでな。アクレイア城に籠もってからもメソメソメソメソ泣き暮らしてな。ペシャワールでヒルメスが死んだって噂を聞いて、後を追うかのように息を引き取ってしまったよ、残念なことにな」

息を引き取った?イリーナが?だとしたら一体…

「誰だよ?お主、イリーナ内親王じゃあないんだな?だとしたら、お主は一体誰なんだよ?」

「決まっているだろう?イリーナ内親王の姉、ミリッツァ内親王だ。周辺諸国で年回りが近くて独身なのはお主だけだったからな。結婚するならお主だとずっと思っていた。会えて嬉しいぞ、ラジェンドラ殿!」

「…生きていたのか、お主?それに一体どうやって城から脱出出来たんだ…」」

いや、彼女は二年に及ぶ籠城戦の果てに命を落とすはずだったから、原作でもこの時点ではまだ生存しているはずではある。だが難攻不落の要害に籠もりきりで、船を連ねて脱出出来る余裕などなかったはずなのだ。

「内通者を使って城内を混乱させた上で開門させるなどという姑息な手を使おうとしていると判ったのでな。それ
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