CAST31
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からは見えないアングルだった。
「姉さん、私と白夜君のラブコメを邪魔しないで。馬に蹴られちゃうわよ?」
「黙りなさいこの色ボケ!達也!」
「……………母上、俺に当主に牙を剥けと?」
「ちっ…穂波!」
「いえ、馬に蹴られたくはないですので」
完全アウェーの中、深夜は仕方なしに深雪の方を見た。
「みゆっ………き……さん?」
しかし深雪は達也の後ろから真夜と白夜を見て顔を赤くしていた。
「ひっ、膝枕…今度お兄様に…」
それを見た真夜がプッと笑った。
「あら、姉さんには味方がいないのね…。
見ていて哀れねぇ…」
「真夜。喧嘩を売ってるならそう言いなさい」
「バツイチ」
「買ったわ」
顔に井形を浮かべた深夜が腕に巻いたCADを操作する。
「水波ちゃん!逃げるわよ!」
「に、逃げるってどこにですかっ!?」
真夜はニヤリと笑った。
「貴女も使えるでしょ?銀の鴉を。
インビジブルは私がやるわ」
水波も思い至り、ペンダントを握る。
深夜の放った魔法は当たる寸前で水波の背から生えた二対四枚の光翼に妨げられた。
「……達也。あれは?」
「白夜が開発した飛行兼攻撃兼防御魔法シルバークロウです」
「飛行魔法?」
「障壁で翼を作る魔法ですね。障壁系の才能がなければ発動すらできませんが」
障壁魔法は何もない空間に物が『在る』と想像せねばならず、高いイメージ力が要求される。
それは十文字のファランクスの再現性が低い要因でもある。
「ですが『桜井』である水波なら、十二分に実用レベルで使えるかと」
深夜が達也の説明を聞いている合間に、真夜も白夜を横抱きにして、インビジブルとシルヴァークロウを起動していた。
フィィィン…という高周波のような音が辺りに響く。
深夜には二人の姿は見えないが、音の方向を頼りに魔法を放つ。
しかしその魔法は防がれる事も、当たる事もなかった。
「ああ、逃げられてしまいましたね、母上」
やや上を見上げる達也の『眼』には、飛び去る三人の姿が見えていたのだった。
上空300メートル
「ここまで来れば大丈夫かしら?」
「ええ、流石に達也様も今の私達を撃ち落としはしないかと」
水波は観戦用スコープで地上を見下ろしていた。
300メートル下では達也と深雪が苦笑いをしながら水波と真夜に手を振り、穂波が深夜を宥めていた。
深雪の視線が若干ずれてるのはご愛嬌だ。
「ぅゆぅぅ…ゆ?」
パチリと目を覚ました白夜が、周囲を見渡した。
「……………ああ、深夜さんきてるのか」
「ちょっと待ってください
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