6. 香煙
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うタバコはやめだ」
「絶対やめろよ。次会った時は、話すより先に確かめるからな」
「どうやってだ。匂いをかいでもわかんねーぞ」
「わかってんだろ。お前と同じことをやってやる」
「……うるせえ」
ポケットの中のソフトケースを取り出し、それを握りつぶした。これ以降、俺がタバコを吸うことはない。少なくとも、再び木曾と会うその日までは。
「……じゃあな。相棒」
「ああ。またな相棒」
木曾と別れの言葉を交わし、互いに逆方向に歩いていく。コツコツという、靴の音にしては重く硬い音を響かせ、木曾が俺から離れていく。
「……ッき」
たまらず振り返るが、俺の視界の先にいたのは、さっきまでの女ではなかった。
「……」
俺の視界の先にいたのは、艦娘の木曾。
緑の長い髪をなびかせ、白いセーラー服の上から黒の制服をマントのように羽織り、腰にはサーベルをぶら下げた、艦娘の木曾。
その風貌だけ見れば、スカート以外は男と見間違えてもおかしくない、艦娘の木曾。
俺と互いに唇を求め合い、俺と再会の約束をし、その時に俺の唇を奪うと宣言した、女の木曾では、けっしてなかった。
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