6. 香煙
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を打った後、木曾は俺に背中を向けて距離を取り、艤装をガシャガシャと動かし始めた。その背中はどこか悲しげだ。俺にはそう見えた。
「なぁ徳永。やっぱお前は凄いな。手足を動かしてるように違和感がない。こんなに調子いいのは初めてだ」
背中を向けたまま、木曾が話し始める。艤装の影に隠れる木曾の背中は、とても華奢だ。
「……おい木曾」
「あ?」
俺の身体を、衝動が駆けた。無意識のうちに足は木曾に向かって歩き始め、右手で木曾の艤装をつかみ、力任せにこっちを向かせた。
「お?」
「……ッ」
「おいおいどうし……」
ちょっと困惑したように笑う木曾の襟を左手でねじ上げ、こいつの緑の髪に隠れた首根っこに手を回す。そしてそのまま、木曾の唇に、自分の唇を無理矢理に押し付けた。
「ん……!?」
「……ッ」
木曾は必死に顔を背けようともがくが、俺はやめない。細く小さい右の拳で俺の肩をトントンと叩くが、それでも俺は押し付けるのを止めない。そうして暫くの間、俺は木曾に唇を強引に押し付け続けた。
しばらくの格闘のあと、木曾が強引に顔をそむけ、俺達の唇は離れた。木曾の頬は、少し赤く染まっていた。
「……プハッ! バカやめろ……ッ」
「……うるせえだったら俺を突き飛ばせ」
「タバコくせえんだよ……ッ」
「だから嫌なら逃げろって言ってんだろうが……ッ」
「黙れ……黙れ徳永……ッ」
「逃げないんならまたやるぞ」
「……ッ」
「いいんだな木曾?」
「ちょ……まてって……んン……ッ」
木曾の返事を待たずに、再び唇を押し付けた。今度も乱暴に、相手のことを考えずに。強引に木曾の唇を舌で押し開き、それを強引に押し込でいく。
「ん……フッ……!」
「フッ……フッ……」
「ぷはッ……タバコ……くせぇ……ッ!」
「うるせぇ……ハァッ……ッ」
息をするために時折唇を離しては、軽口を言った後、また押し付ける。そのたびに互いの歯がガチリと当たり、口の中に鋭い痛みが走った。
「ハァ……ちくしょッ……なんで……んぶ……ッ」
「……ハァッ……何が……だよ……」
「ぷはッ……なんで、今更なんだよ……ッ!」
「だから……ハァッ……何がだ」
次第に木曾も、自分から唇を俺に押し付け、自分の舌で、俺の唇をこじ開けてきた。口の中の木曾が、その言葉とは裏腹に、タバコ臭い俺を必死に求めていた。そのたびに、互いの歯がガチガチと当たり、痛い。
だが、それでもやめない。歯が当たるのもいとわず、俺達は唇を押し付け合い、開いた相手の中に舌を入れて、相手の舌を受け入れた。
「だから……タバコくせぇって……言って……んッ!?」
「……ッ」
「……ぷはッ……ハッ……ハァッ……」
「フッ……フッ……だっ
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