第六十六話 自分達の船その九
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「龍程じゃないがな」
「その牛鬼を倒す」
「死んだら生き返らせてやるからな」
「その心配は無用だと言っておく」
英雄は親父に告げて闘技場に牛鬼が来るのを待った、やがて巨大な五メートルはある漆黒の蜘蛛の身体に恐ろしい鬼の頭を持つ魔物が出て来た。魔物は英雄を餓えて血走った殺意に満ちた目で見据えていた。
英雄はその牛鬼が自分の前に出て来て勝負がはじまったその瞬間にだった、音もなく影の様に動いて。
牛鬼が動く前に唐竹割りにした、すると観客席から歓声が起こり。
親父も驚いてだ、英雄のところに来て言ってきた。
「おい、牛鬼を一瞬でか」
「見ての通りだ」
英雄は驚いている親父に平然として返した。
「倒した」
「本当にあっさりとやっちまったな」
「何度も言うがこれ位はな」
「牛鬼でもか」
「倒せる」
そうだと言うのだった。
「相手が動くよりもだ」
「仕掛けるといいんだな」
「先んずれば人を制す、そしてそれはだ」
「魔物相手でも同じか」
「そうだ、牛鬼が幾ら強くてもな」
「動く前に倒せばいいか」
「それだけのことだ、だが動いてもだ」
仮に牛鬼がそうしてもというのだ。
「俺は勝つ」
「そうするんだな」
「牛鬼に負けていては先がない」
英雄は常にこの世界を救うことを考えている、海の魔神を倒して。
だからだ、牛鬼が幾ら強い魔物でもというのだ。
「だから動いてもだ」
「倒すっていうんだな」
「そして可能な限りな」
「動く前にか」
「今の様に倒す」
まさに一瞬でというのだ。
「そうしてみせる」
「そうか、あんた本当に強いんだな」
「もっと強くなる」
これからもとだ、英雄は親父に答えた。
「では闘技場を閉める時間までな」
「戦うか」
「そうさせてもらう」
こう答えて実際にだった、英雄も他の者達も闘技場で戦い続けた。それは船が出港出来る様になるまで続けられ。
英雄は船が出港出来る準備が整ったと聞いてだ、刀の血を拭いてから言った。
「ではだ」
「今からでござるな」
「港に行こう」
話を伝えてくれた智に答えた。
「そうしよう」
「闘技場での鍛錬も終わりでござるな」
「いい鍛錬だった、そしてだ」
「暇潰しにもでござるな」
「なった、いいものだった」
「しかも銭も稼げたでござるよ」
智は英雄に笑ってこの話もした。
「全員で二万両に達したでござる」
「二万両か」
「そうでござる」
「船の分の元どころかな」
「倍以上取れたでござるな」
「そうなったな」
英雄は智にいつもの簡潔で強い口調で述べた。
「九千両どころかな」
「いや、まさかここまで稼げるとは」
「俺も思わなかったが」
「いい誤算でござるな」
「全くだ、やはり銭はな」
「あればあ
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