完全体
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
ず足を止めるティオス。シリルは背を向けたままの彼を睨み付ける。
「シリル、俺はお前の実力は十分認めているつもりだ」
「??」
突然の告白に眉間にシワを寄せる。ティオスは横たわるレオンの前に膝をつくと、彼の胸に手を当てる。
「正直今のままの俺ではお前に勝てるか微妙なところかもしれない。だが・・・」
ティオスの手から光が発せられていく。すると、次第にレオンの体にある変化が起き始めた。
「レオンが・・・消え・・・」
次第に薄れていくレオンの体。それに比例するように、切り落とされたはずのティオスの腕がみるみる修復していく。
「お前!!やめろ!!」
「もう遅い」
それを止めようとしたシリル。少年は懸命にティオスに体当たりしたが、その時にはもう遅かった。
「そんなバカな・・・」
「こんなことって・・・」
完全に肉体すらもこの世界から消え失せてしまったレオン。それに対し、ティオスは元通りの体に戻り・・・傷すらも癒えてしまっていた。
「やはりそうだ。何かおかしいと思っていたんだ」
蘇った腕の感覚を確かめながら、シリルたちへと視線を向ける。その体から感じられる魔力は、これまでのそれを超越していた。
「なぜか未来にいた時ほどの力を出せなかったのは、俺が過去の俺と一体化できていなかったからだ。だからカミューニの攻撃に反応することができなかったのか」
かつて未来からやってきたローグは現在のローグと一体化しようとした。それは自らの肉体を完全とするために必要だったから。
だが彼はナツに阻止され一つになることができなかった。ならば目の前にいる青年は果たしてどうだろう。その力を遥かに凌駕していく力を秘めていた彼が、さらなる力を得てしまったのだ。
「だがまだ完全じゃないな」
そう言うティオスの目に映る水色の髪の少年。
「お前の吸収すれば、俺は完全体になれるわけか」
さらなる力を欲して進化を続けるティオス。進化を遂げたこの男を、果たしてシリルは止められるのだろうか。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ