完全体
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足を飛ばし座り込んでいる少女の後ろへとたどり着くティオス。その少女の前にいるのは、横たわり、呼吸もしていない金髪の少年が眠っていた。
「誰ッ!?」
後ろに人の気配がしたことで思わず身構えるシェリア。だが、彼女は後ろにいる青年の姿を見て思わず固まっていた。
「え・・・レオン?」
レオンにそっくりな青年。そんな彼が血まみれで片腕を無くして駆けてきたのだ。彼女の警戒が解けてしまうのも無理はない。
「ここにいたのか」
だが彼にはそんな彼女の様子など関係ない。彼の目に映るのは彼女の後ろにいる横たわる少年だけだ。
「レオン!?ねぇ!!レオンなの!?」
思わず目の前の青年に駆け寄って行くシェリア。そんな彼女の姿が目に入った青年はそれを払い除けようとしたが・・・
「・・・」
愛していた彼女の元気そうな姿に、その手が止まる。
「なんで!?なんで生きてるの!?どういうことなの!?」
シリルの肉体で蘇ったが、中身は正真正銘のレオン。おまけに魔力はかなりの大きさもあり、彼と勘違いしてしまうのも無理もない。
「シェリア・・・」
その笑顔を初めて見下ろすことになった彼は懸命に奥歯を噛んでいた。ようやく出会えた彼女の姿に、彼は本当は今すぐにでも抱き締めたかった。その衝動を必死に押さえ込んでいた。
「どうして何も言わないの!?レオン!!」
「っ・・・」
これ以上の言葉を発すれば、自分の中の何かが崩れる。それがわかっていた彼は懸命に自らの心を押さえることに集中していた。
「待て!!レオン!!」
だが、後ろから聞こえてきたその声でティオスはその感情を抑えることに成功した。
「シリル!!ウェンディ!!」
先頭で追い掛けてきたシリル。その後ろからも数人の魔導士たちが駆けてくることにシェリアは目を見開いていた。
「シェリア!!その人から離れて!!」
「そいつはお前の知るレオンじゃない!!」
ウェンディとエルザが何を言っているのかわからないシェリア。キョトンとしているそんな彼女の腹部に、重たい一撃が叩き込まれた。
「えっ・・・レ・・・オ・・・ン?」
その衝撃の正体は彼女が抱き着いていた青年から放たれたものだった。彼女はその痛みに意識を失いそうになりながら、彼の顔を見上げている。
「悪いなシェリア。お前は最後に始末してやる」
予期せぬ不意討ちにそのまま地面に崩れ落ちるシェリア。彼女は変わり果ててしまった幼馴染みに絶望しながら意識を失ってしまった。
「シェリア!!」
気を失っている友人に駆け寄るウェンディ。その間にティオスはゆっくりとした足取りで自身のかつての肉体へと向かっていく。
「何する気だ!!レオン!!」
その声に思わ
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