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FAIRY TAIL〜水の滅竜魔導士〜
完全体
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ツカツカツ

天界に広がる泉。そこでこの事態を覗き込んでいた天使とドラゴンの元に一人の老人が歩いてきた。

「あなたにしては先走り過ぎたんじゃない?オーガスト」

最前列で見ていたヨザイネは振り向くこともせずにその老人の名前を呼ぶ。彼はそれにその場で答えることはせず、ドラゴンたちの間を縫って、彼女の後ろへとやって来る。

「ここが死の世界か?ヨザイネ」

想像したこともなかった死後の世界。それがこんな世界なのかとオーガストは尋ねたが、ヨザイネは首を横に振る。

「ここは本来天使だけの世界・・・あなたもヴァッサボーネたちもいることはできない。もちろん、追放された私もね」

ではなぜこの彼女たちはここにいるのか。その理由も彼女は淡々と語った。
自らの命を燃やし、人々を蘇らせたヨザイネ。天使として、そして人として生活してきた彼女にわずかながらの慈悲が与えられた。それはこの戦いの結末を見届けること。
本来は死後、すぐに次の肉体へと魂を移される。それまでのわずかな時間を特別にここで過ごすことを許されたのだ。

「この戦いが終わったら、みんな本来の順序に沿って次の生命体として生きることになる。その時にはすべての記憶が消え、もう誰のことも思い出せない」

ごく稀に前世の記憶が残っているケースもあるが、それはたまたま抜けてしまっただけであり、必ずしも起きる事象ではない。むしろ起きてはならない現象なのだ。

「そうか・・・」

ヨザイネの説明を聞いたオーガストは悲しそうな表情を浮かべた。それは母には存在を気付いてもらえたが、父からは認められなかった彼ならではの悲しみなのかもしれない。

「あなたの気持ちもわかるわ。でも、それが運命なの。だからこそ・・・」

泉に落ちる一粒の雫。ヨザイネは流れ出るそれを拭い、自分の息子を見つめていた。

「あなたにはあんなに簡単に命を散らしてほしくなかった・・・」

自分と彼とは立ち位置が違っているとヨザイネは感じていた。長年、息子の存在に気付いてあげられなかったヨザイネと、ずっと父のために尽くしていたオーガスト。
そんな二人が同じように大切な人たちの記憶に残っていいわけがない。だからヨザイネは早々に自らの命を燃やした。だが、オーガストには・・・せめて父にも存在を気付かせなければと思っていた。それなのに・・・

「私のことなどいい。お父さんとお母さんが幸せになってくれるのであれば・・・」

健気とも言える息子の願いに聞いていたものたちは切なくなる。だが、それだけに今後の厳しい展開が辛い。

「ティオスにはまだ次の手がある。それを何とかしないと、勝ち目はないのよ」

どんどんシリルたちから距離を開けていくティオス。片腕がないにも関わらず誰にも追い付かれない速度を維持
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