第74話『カズマ』
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俺は日城中学校に通う、ただの中学生だった。
別に特技がある訳でもなく、気分で剣道部に所属していた ただの中学生。それ以外は至って平凡で、人気があった訳でもない。勉強はテストとかあってつまらないし、部活も結果を残せず飽き始めていた。
つまり、俺は人生を退屈と感じていたのだ。
自分が何を求めているのか。それが全くわからなかった。
そんなある日、俺は己の転機となる事態に遭遇した。
『なぁ一真、肝試し行かないか?』
『あ? 今開放されてるっていう?』
『そうそう。今夜行ってみないか?』
『まぁ別に構わねぇけど』
『でもただ行くのは面白くないな。…なぁ知ってるか、この肝試しって24時を過ぎたら──』
友人のその話を聞いて何を思ったのか、俺はその日の夜、24時を過ぎてから肝試しに向かった。たぶん、好奇心からだろう。久しぶりにワクワクしたのを覚えている。
そして友人にじゃんけんで負けた俺は、一人で森に入ることになった。
そこからの記憶は──無い。
気がつけば、俺は浜辺に倒れていた。やけに紅い月が不気味に感じられて、不安を覚える。
『ここはどこだ…?』
辺りを見回した所で、見えるのは浜辺と海だけ。聴こえるのも漣の音だけだ。穏やかなはずのその音色も、今は心細さを助長するのみ。
『えっと…俺はさっきまで肝試ししてて森の中にいて・・・でも、どう考えてもここは海だよな…?』
自分がどんな経緯でここに立っているのかは不明だ。ワープしただなんて現実的ではないし、となると誰かに連れ去られたという線も否定はできない。たとえそうだとして、一体何が目的だ…?
『とりあえず、人に訊いてみっか』
恐らくここは俺の知る場所ではない。ならば、頼るのは交番と相場が決まっている。とにもかくにも、誰でもいいから道を訊いて、さっさと学校に戻った方が良い。
そう思って再び周りを見渡した時、遠目に人影がいくつか見えた。早速、俺はその人たちの元へと駆けつける。
『すいません、少し訊きたいことがあるんですけど・・・』
五人くらいだろうか、声を掛けるとその人たちはバッとこちらを振り返った。
思い返せば、この時点で気づくべきだったのだろう。夜だからあまり見えなかったのが災いしたのだが、それでもそんな中で普通灯りも無しに人が集まるかどうかくらいは判断できたはずだ。
結論を言うと、その人たちは"人"ではなく"骸骨"だった。
『うわぁぁぁ!!??』ダッ
この暗さに骸骨はさすがにビビる。お化け屋敷でもここまでの迫力は無いだろう。俺はすぐさまその場から立ち去ろうとした。
だが初めてのことで
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