4. 暮煙
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が金色に輝いていた。
俺も木陰に座ることにする。そよそよと拭く風が心地よく、お日様の光がポカポカと温かい。確かに眠るにはちょうどいいのかもしれない。
「……確かに気持ちいい。眠くなる……」
「お疲れなら、少し眠ってもいいと思いますよ?」
「かも……しれない……」
髪を切ってまだ間もないのに、木陰で寝転んだ。途端に草の香りが鼻に届き、それがまた心地良い。全身を照らす陽の光がぽかぽかと心地いい。
「……あ」
「?」
「ヤバ……おち……」
「……おやすみなさい」
隣で本を読む女の子の、そんな優しい声が耳に届いた。次第に閉じていく視界に最後に写ったのは、桜の木の鮮やかな緑色。
あいつの髪の色と同じだが……もう少しだけ鮮やかな、陽の光に輝く、緑色だった。
………………
…………
……
……
…………
………………
「そろそろ起きろ徳永……もう夕方だぞ」
俺の耳に、聞き慣れた声が……でもいつもに比べ、少しだけ柔らかく耳に心地いい声が届き、俺の眠りは優しく中断された。
「……ぉお、おお」
「まったく……やっとお目覚めか」
少しずつ少しずつ、視界がクリアになってきた。木陰で寝転んだ俺は、そのまま熟睡してたらしい。クリアになってきた視界には、オレンジ色に近い青空と、桜の木が映っている。
「……今、何時だ……」
「もう夕方だ。晩飯の時間に近い」
頭の下に、やけに小高く、柔らかいものがあることに気付いた。自分は知らないうちにこれを枕にしていたようだ。確かに枕にするにはちょうどいい柔らかさと高さなのだが……
未だ寝転んだままの俺の頬を、誰かがさすり、そして頭の髪に触れた。
「髪切ったのか。さっぱりしたな」
「おお……まぁ……命令でな……」
「ククッ……なんだそりゃ……」
段々頭がはっきりしてきた。短髪になった俺の頭をくしゃくしゃとまさぐるそいつが、未だ寝転んでる俺の顔を覗き込んでくる。
そいつの顔は、俺がよく知っている笑顔を浮かべた。
「髭も綺麗に整ってるじゃんか」
「木曾か……」
「いいな。昨日の髪型よりもいい」
途端に頭がハッキリと覚醒し、今のこの状況を正確に理解することが出来た。木曾が俺の頭に、膝枕をしてくれていた。
「お前……寝てる俺に膝枕してたのか」
「ああ。俺で悪いな。でも何も無いよりマシだろ」
そういって木曾は、俺を見下ろしてニコッと笑う。
周囲を確かめる。さっきのセーラー服の女のように、足は正座していない。木曾は桜の木にもたれかかって両足を投げ出し、その右太ももに俺の頭を乗せてる感じだ。
「……ずいぶん男らしい膝枕をしてくれてるな。なんで俺がここにいるって分かった」
「
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