03図書室
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や? そなたは四葉の思い人ではないか。んん? 昨日は失敬したのう、戦の前に押しかけるとは、我からも奴に言って聞かせておく」
それは自分の体なのだが、直接話し合うのは不可能なので、このまま記憶に残すのか、手紙で残すのか、鏡に向かって言い聞かせるのか、他人事のように言った。
「君は?」
顔が同じなので気が付きそうなものだが、表情と目力と髪型が全く違うので認識できない。
ユルい飼い猫顔の四葉と、山猫や野良猫のようなシヨウでは別人。
眼付も悪く警戒心の塊で、電気も水道も無い世界で心を研ぎ澄まして、普段は目隠しして小宇宙を高めて生活しているような巫女と、だらけきった現代人を比べてはいけない。
「我が名はシヨウ、冬守の巫女じゃ。今はこの体、お主を好いておる四葉の体に宿っておる」
そこでやっと昨日、自分の控室に押しかけた、ポニーテールのバカ女なのだと気付く。
「ああ? 昨日の…」
確か、入学前からオカルト研究部にドラフト一位指名され、三顧の礼で迎えられたにも関わらず、ソフトテニス部とか、いつでも休めるユルそうなヤリサーに入ってしまった超大型新人の話を聞いていたが、その本人と対面した。
毎月、毎週のように何かに憑かれて、奇行を繰り返して心霊体質を発揮しまくり、オカルト部から茶菓子とジュースで釣られて前世の自分としてインタビュー、コックリさんとかしないでもケモノフレンズが憑いちゃって狐憑き悪魔憑きになれる少女。
しかし顔以外の、目付き、表情、姿勢、凛とした気品と言うか、挑みかかる様な燃える視線、何もかもが四葉と違っていた。
迷惑なことに、四葉の思いは周囲にバレバレであったとしても、告白も何もしておらず、お守りを渡しただけであるのに、シヨウが二度に渡って四葉の心中を告げてしまった。
「何で泣いてるんだ?」
「泣いていたのは、ここの医術が素晴らしかったからじゃ、この方法を知っていれば、幼い頃に父も母も失わずに済んだ。牛の痘瘡を患っておけば、痘瘡で死なずに済むのだな」
握り拳で涙を拭い取ると、シヨウは笑顔になってタケルを見た。
「汝の名は?」
タケルの名は四葉が知っていたが、敢えて言わせた。
「タケル、山手猛」
「ほほう、ヤマトタケルとは大きく出たな。草薙剣を振るう神州一の剣士で、大蛇をも退治したか?」
「いや、ヤマテだ」
シヨウはわざと言っているだけだが、タケルはシヨウに自分の名を覚えてもらおうと食いついた。
「よかろう、ヤマテタケル、四葉の思い人をぞんざいに扱うと、体の持ち主に怒られるからのう」
三度に渡って勝手に告白され、四葉に戻るとリスカ、クビツリ、トビオリ、ハラキリ自殺物の大ダメージ。
しかし、シヨウ
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