03図書室
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ず夜の稽古を終えた。
ダラダラと集中を欠いて、汗を流して持久力も付けるための鍛錬は、道場の練習生や剣道部員、師範代とでもできる。
しかし祖父との対戦は一期一会、一刀一会なので、斬られた後は引き下がって、目標を持って鍛錬を続ける。
以前なら真剣での寸止めが行われていたが、祖父の腕と目の衰えにより中断されたままになっていた。
学校
翌日、月曜には登校した猛。
小学校のように全校集めて朝礼をしたり、全生徒の前で褒められたり、発言を求められるような前時代的な集会はなかったが、教室での朝礼で軽く触れられ、県大会優勝をクラスメイトから祝福された。
「また他校とか、県内の剣道女が押しかけて来て、大変になるな」
「やめてくれ」
女は剣を曇らせ、切っ先の向きを変える。
あまりに面倒で鍛錬の邪魔になるので、押しかけ女房のような先輩で剣道部マネージャーと付き合っている事にして、先輩が卒業した後でも逃げられずに奉仕を受けている。
土日にアクセサリーや衣装として呼び出され、自慢の種で道具として女友達に自慢され、インスタ映えに利用されるのは困るが、女除けにはなった。
「ねえ、山手君、そろそろ先輩から私に乗り換えようよ」
「断る」
「もう、無理しちゃって〜」
金も女も、不要と思っている人物の所に大量に集中して殺到してくる。
「この後、自習希望者は申し出るように」
そのまま授業を受けることもできたが、3年のこの時期、下手に学習塾などの内職(別の科目)をされると困るので、成績優秀で自習希望者は、図書室での自習も許可された。
図書室
似たような連中が陣取り、各々不得意分野などの点数を上げるために努力していた。
成績優秀者なので、無駄口を叩いて遊ぶような者は居なかったが、一人だけ医学書のコーナーの脚立に乗り、そのまま立ち読みしている女がいた。
髪を両側で縛っている奇妙な髪形をした女は、何故か泣いていた。
(あれは?)
その女は昨日、控室に押しかけ、お守りを置いて行った騒がしい女だったが、とても同一人物として認識できなかった。
体幹が通り、背が高いわけでもないが芯が通っているように固く、一分の隙も無く、このまま祖父のように手刀で打ち込んでも一瞬で返し技で返され、柔で関節技でも極められるか、一本取られそうな女に視線を釘付けにされた。
「何だ、お前でも女を見ることがあるんだな、先輩と付き合い始めるまではホモだって言われてたくせに、タケルもお年頃なのか?」
「ああ……」
その指摘に対応することすらできず、もう視線を逸らすこともできない。
ずっとその女の隙を探していたが、これを一目惚れと言っても良いのなら、その分野に分類される。
シヨウも、その目線と殺気?には気付き、タケルを見た。
「お
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