第5章:幽世と魔導師
第170話「再会と別れ」
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本来の神降しと違うとはいえ、負担はかなりのものだったはずだよ」
「っ……すみません、姉さん……」
「いいさ。謝るのはあたしの方だからね」
ふらつく葉月の体を、紫陽が小さな体を浮かせて支える。
「さて、このままお別れなのも嫌だろう?とこよに会いに行くよ」
「で、でも、無言で立ち去ったって事は……」
「幽世で一緒にいたあたしが言うんだ。さっさとしな!」
急かすように紫陽がいい、戦闘で疲れた体を引きづって一行は大門へと向かった。
「あはは……やっぱり、追ってきたんだ」
「せっかくの再会なんだ。ゆっくりすればいいってのに」
大門へ辿り着くと、そこにはいくつもの御札がばら撒かれていた。
それぞれに複雑な術式が込められており、一種の儀式のようになっていた。
「術式を起動すれば大門は閉じるよ。閉じた後も現世にいたら、今度は私たちが均衡を乱す存在になっちゃうから」
「だろうね。そういう訳だ。話す事をしっかり話してきなよ」
そう言って、紫陽は蓮や鈴など、とこよと関わりがある者に会話を促した。
「……」
「……」
まず前に出たのは、鈴と澄姫。そして葉月の三人だ。
葉月は既に涙を浮かべ、気丈に振舞う鈴と澄姫もこみ上げる想いに耐えていた。
「……うん。久しぶりだね。……まさか、鈴さんと葉月ちゃんが生まれ変わってるとは思わなかったけど……」
「……二言目がそれ?まったく、その様子じゃ、全然変わってないじゃない……本当に、躍起になって損したわ……!」
「とこよさん……とこよさん……!」
ずっと探していた人。ずっと行方が知れなかった人。
そんな人物と再会できたのは、実に感慨深いものだろう。
特に、葉月の場合は姉と友人の二人と再会できたのだから。
その証拠に、強がっている鈴の頬を、涙が伝っていた。
「……ずっと、幽世にいたのね。……見つからなくて当然、ね」
「澄姫……」
「文は……あの子は、貴女が見つからなくて特に悲しんでいたわよ」
「そっか……」
澄姫はどこか納得したように溜息を吐く。
「……思えば、校長先生や三善先生は察していたのかもね……だから、未練として思念が残る事はなかった……」
「……ねぇ、澄姫」
思い返すように呟く澄姫に、とこよは静かに声を掛ける。
……そして、刀を向けた。
「なっ……!?」
「ッ……!?」
「………」
驚く司達。対し、澄姫は済ました顔でその刀ととこよを見据えていた。
「選んで。ここで私に消されるか、自分から消えるか」
「な、何を……」
「外野は黙っておきな」
何をするつも
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