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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
序章 新朝始歌
第二十八話 傾城愛娘
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や、人違いだから!三人娘は確かに孤児だけど、ラクシュにはちゃんとカルナという母親がいるから!それに年齢だって合わないから!こいつこう見えて何と驚きの二十六歳だから!俺も指折り数えて計算して、毎度その事実に驚くんだけどさ。
いいえ、間違いありません。ひと目で判りましたと、それでもタハミーネは言い張るのだ。ちょっとその目、腐ってるんじゃないかと思うんだが。原作だとレイラを自分の娘と信じて疑わなかったって言うのに、一体全体どうなっているんだ。
そもそも、ラクシュは生粋のシンドゥラ人で、肌だってちゃんと褐色で、透けるような白い肌のタハミーネとは似ても似つかないとも言ったんだが、
「私はシンドゥラの隣国、バダフシャーン公国の生まれですので、シンドゥラ人の血も多少は流れているのかもしれません。きっとラクシュにはシンドゥラの血が強く出てこの様な肌なのでしょう。おそらくアンドラゴラスはこの肌の色がパルス人らしくないと思って捨てたのでしょう。そうに違いありません!」
と変に理論武装し、全くこちらの話に聞く耳を持ってくれないのだ。あ、そう言えばカルナは赤ん坊の時分に国境となっているカーヴェリー河のシンドゥラ側の岸でカゴに入れられプカプカ浮いてるところを拾われたらしいと言ってたような。と、すると元はバダフシャーン生まれで、シンドゥラの血が余りに強く出過ぎたことで、シンドゥラ側に捨てられたって可能性もあるのか?そして、本来カルナはタハミーネの姉だったりする可能性があったり?それで血がつながってるように思えると?…いや、どうかね…。
でも、この調子ではどれだけ言葉を尽くして説明しても、違うと納得してくれそうにない。いや、むしろ好都合だろう。娘と信じて疑わない存在と過ごすことで、彼女はこの先幾らでも親に誇れるおみやげ話を作っていくことが出来るだろう。それで本人が幸せだというのなら、それはそれで構わないではないか。そうだよな。だから、ラクシュ、思う存分、『母親』に甘えてやってくれ!もとい、『母親』を甘えさせてやってくれ!
「一体何でこうなるんさー!?」
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