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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
序章 新朝始歌
第二十八話 傾城愛娘
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て正しいことだろうか?」
「…確かに正しくはないかもしれんがね。しかし、本人に生きる気がないんだ。勝手にさせてやるべきだろうさ」
「私が死なせたくないのだ!だって、このまま死んでは、母上は『おみやげ話』が出来ないではないか!」
ジャスワントに聞かせてもらったのだ。自分にとって大切なお方から話して頂いたことだと。
人間は死後の世界で親に会ったら、たくさんのおみやげ話をしてあげなければならない。悲しい事や辛い事もあったけど、我慢して乗り越えてちゃんと幸せになれたと。誰かの役に立てて、誰かに喜んでもらう事が出来たと。嬉しかった事や、楽しかった事、誇らしかった事がたくさんあったと、そういった事を親に伝えなければならない。それが出来るようになる前に死んでしまうのは親不孝だと。
このままでは母上はそのご両親に死後の世界で会ったときに、自分は幸せにはなれなかったと伝えなければならなくなる。そんな話はする方もされる方も悲しいだろう。そんなことにはなって欲しくないのだ。
ラジェンドラ殿はしばらく呆気にとられたような表情で私を見ていた。そして、深い溜め息をつき、頭をガリガリと掻いた。
「全くジャスワントの奴め…。なあアルスラーン、大人の中にはなあ、おみやげ話をつくるのも見つけるのも壊滅的に下手なまま大人になっちまった奴だっているんだぞ?タハミーネ殿なんてその最たるものだろうさ。あのお方ではこれ以上生き長らえても難しいだけだと思うぜ?」
「そうかもしれないとは思う。でも、誰かが歩き出す前に、何処にも辿り着けないからやめてしまえなどと私は言いたくないのだ!」
そう、歩き始めなければ、何処にも辿り着くことは出来ないのだから。
「ああもう、判った、判ったよ。やってやるさ。何から何までこのラジェンドラお兄さんに任せるがいいさ!その代りなあ、俺はお主に言いたいことが山ほどある!この際だから全部聞いてもらうからな!」
何だろう?私は何を聞かされることになるというのだろう?
◇◇
気付くと私、タハミーネはあばら家の中の粗末な寝台の上に横たえられていた。何故、こんなところに?それにいつの間に夜が開けているのだろう?
私は確か、ルシタニア皇帝と名乗るイノケンティスに皇妃とやらにされて、長くつまらないだけの式典のあと寝所に連れて行かれて、事が終わった後、疲れ果てて眠った皇帝の首筋を、隠し持っていたのに何故か見つかることのなかった刃物で切り裂いて、血しぶきが辺り一帯を濡らして…そこから先を覚えていない。一体何が…。
そのとき、突然部屋の扉が開いた。一瞬だけ覗いた顔を見て私は息を呑んだ。
「おおっ、気が付いた!ねーねー、みんなー、殿下ー、早く来て来てー!」
!今の声は!?声の主は部屋の外を歩き回り、やがて四人の
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